Electronics

2016.03.16

このハンダごてを使う女性の写真は何もかもデタラメだ

Text by Mike Senese
Translated by kanai

ストック写真は広大な世界だ。いい写真もあるが、デタラメなものもある。

なかでも、特にMakerが気になるのは、下の写真だ。女性がハンダごてを使って複雑な電子基板を作っているところとある。ちょっと見たところではきれいな写真だが、よく見ると、彼女のハンダごての使い方に仰天させられる。ハンダごての持ち手ではなく、ヒーター部分を握っているのだ。スイッチを入れれば300度以上になる部分だ。細かい作業を行うときは、ハンダごてを短く持てたらいいと思う気持ちはわかるが、そんな持ち方をすれば、そのたびに手の平に大やけどを負うことになる。

もうひとつ問題がある。ハンダ付けをするべき基板の裏側ではなく、表側で作業している点だ。もしかして、表面実装部品なのか。いや、これほど立派なラボで、RadioShackで10ドルで買った25ワットのハンダごて(たまたま私はこれを持っている)を使って表面実装部品をハンダ付けするなんて、考えられない。

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だが、いちばんイラつくのは「美しい女性がプリント基板の修理を行っているところ」というこの写真のタイトルだ。マーケティングの仕組みはわかってる。だけど、それでも残念なのが、人の活動と身体的特性を関連させているところだ。この場合、この女性が特別であるように言っている。普通の女性が行わないようなことをやっているのだと。このエレクトロニクス界には、Limor(Limor Fried)やBecky(Becky Stern)やStarやLenore(Lenore Edman)といった女性のスーパースターがいる。みんな、ハンダごての正しい持ち方ぐらい知っている。女性にはハンダ付けができないということを暗示させるこの写真は、とっくの昔に克服しておかなければならなかった性差による偏見を助長するものだ。

それに、誰だってハンダ付けをする人は美しい。だからこのタイトルは無駄なことを言っている。

これの他に、あと2枚、ハンダごての間違った持ち方をしている写真があった。ひとつは女性で、もうひとつは男性(たまたま有色人種だ)。つまり、ストック写真の世界では、ハンダごての持ち方を間違えるのは女性だけではないということが示されている。だが、ハンダ付けのストック写真のほとんどが男性のもので、間違った持ち方をしてる3分の2が女性というのは、やはりいただけない。

写真家のみなさんには頑張ってもらいたい。ちょっと勉強して、撮影するときだけでもハンダ付けを学んでほしい。Maker Faireに来てくれれば、いくらでも教えてあげる。

原文