2024.09.27
箱の中の不思議な自動車 “BBBM(ブブブン)”、巧みな制御の “人生を制御するルーレット”、“楕円エアホッケー”など、子どもたちが夢中になった作品たち ― Maker Faire Tokyo 2024 会場レポート #2
Maker Faire Tokyoではゲームやおもちゃの展示が人気だ。子どもが夢中になって遊ぶものも数多い。そんな中からいくつかの展示を紹介する。
車の動きが目を引く「BBBM(ブブブン)」
車が好きとのことでフォーミュラーカーが中心。デカール用紙にカラーコピーしたものを貼り付けて着彩している
アラブルカ(A-04-04)が出展したのは、数センチほどの自動車などのミニチュア「BBBM」。箱の底に描いたサーキットを走らせて遊ぶ。箱を傾けるとミニチュアの車が低い方へ向かって走り出す。このとき面白いのは、車がしっかり前方に向かって走ることだ。横すべりやバックすることはない。制御に電気は使わない。どういうしくみだろうか?
ビー玉にペットボトルのふたを乗せて、箱の中で転がした経験はあるだろうか。BBBMはここから始まっているという。ペットボトルのキャップは3Dプリントされたミニチュアに、ビー玉は小さな金属球になった。金属球はミニチュアの前方にはめ込まれている。金属球が前方に偏っているため、箱を傾けて進ませるときの進行方向が一方向に決まる。単純だがすぐれたアイデアだ。特許を取得しているとのこと。
会場ではセンサーつきのコースもあり、3周するスピードを測ってランキングを掲示していた。
これで人生は思いのまま? 「人生を制御するルーレット」
指定した数字で必ず止まる不思議なルーレット
ルーレットを使うボードゲームでは、ルーレットを回して出る数字が勝負を分ける。もし指定した数字を自由に出すことができたら? そんな夢をかなえるのがテツオ氏(A-04-07)の「人生を制御するルーレット」である。ノートパソコンに表示されている数字を調整しルーレットを回すと、やがて回転速度が落ちていき指定した数字で止まる。何度回しても同じである。実際に回る様子を見ると不思議な気分になる。
しくみは複雑なものではない。ミニ四駆のモーターとロータリーエンコーダ、それらを制御するRaspberry Piが仕込まれていて、回転させたルーレットの回転速度が落ち始めたら、指定した数字で止まるよう調整している。特筆すべきはルーレットの止まり方で、仕掛けのないルーレットと変わらずごく自然に減速していくように見える。それでいて必ず指定した数字に止まるのが面白い。ルーレットのこの動きに一番こだわったとのことで、「高度な科学は魔法と区別がつかない」という言葉を思い出した。
パックを打ち出す方向が決め手の「楕円エアホッケー」
盤面に多数開けられた小さな穴からは空気が吹き出していて、パックがなめらかに動くようになっている
数学では、楕円には2つの焦点があると習う。両方の焦点と円周の一点を結ぶ線分の長さの和は常に同じである。そして一方の焦点から打ち出された物体は円周に当たり、必ずもう一方の焦点に到達する。楕円のこの性質を利用したのがumeboshi-lab(H-01-02)の「楕円エアホッケー」である。基本ルールは一般的なエアホッケーと同じで、パックを打ち出して相手の陣地に入れれば得点となる。違うのは盤面が楕円の形をしていることと、陣地が楕円の焦点にあることだ。
やってみると案外難しい。パックを打ち出す方向が重要で、やみくもに打ち出しても相手の陣地に向かわない。自陣とパックを結んだ直線の延長線上にパックが進むようにしなければ、相手の陣地へ進ませることはできない。プレイヤーは防御よりも、自分が打ち出すパックの方向に気を取られがちになり、そこが独特の面白さになっていると感じた。
猫モチーフのクレーンゲーム「ねこゲッチュ!」
クレーンゲームはシンプルな楽しさがある。子どもが次々に体験していた
コネクト・ミー(H-01-06)は水圧でアームを制御するクレーンゲーム「ねこゲッチュ!」を出展した。2本のジョイスティックを使ってクレーンを操作し、並んでいる猫のぬいぐるみの1つを皿に移動するというもの。ジョイスティックの操作に合わせてモーターが回転し、シリンジ(注射器)の押し子を前後させる。それにともない、シリンジとパイプで連結された4か所のアームが動作するしくみだ。全体はArduinoで制御されているという。
コネクト・ミーはこれまで、猫をモチーフにした多様な展示をMaker Faire Tokyoで披露してきた。MDF材で作られたコントロールボックスにも猫の絵が描かれており、今年も猫好きを十分にアピールしていた。
クレーンのアームの先端には猫の肉球がデザインされていてかわいい