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2024.09.24

またもやMaker Faire Tokyoを魔改造モンスターが襲撃!? 初参加も含めて多くの番組出演企業や大学がこぞって登場 ― Maker Faire Tokyo 2024 会場レポート #1

Text by Yusuke Aoyama

ここ数年のMaker Faire Tokyoでおなじみの展示のひとつが、NHKの人気番組『魔改造の夜』に登場した、“モンスター”と呼ばれる魔改造されたマシンたちだ。今年の会場にも新たなモンスターたちの姿を見ることができたので、Maker Faireでは初登場のモンスターを中心に紹介しよう。

アヒルちゃんとキックスケーター

今年1月に放映された番組屈指の難易度だった第9回「おトイレ ゆか 宙返り」と、今年2月に放映された、こちらは番組屈指の好勝負だった第10回「キックスケーター25m綱渡り」を戦った、Oスズ、T工大、Pナソニックがそろい踏み。Pナソニックは、Maker Faire Kyoto 2024でもモンスターたちを披露していたが、OスズとT工大のモンスターは、これがMaker Faireでの初披露となる。

Oスズ(H-03-03)のモンスターは、「スプラッシュ満点トイレ」と「ジャイロドスピード」。

「スプラッシュ満点トイレ」は、時速40キロメートルで走り、CO2ボンベとエアシリンダーで跳び上がり、着地時はアヒルちゃんを囲むフレームによってどのような姿勢からでも起き上がることを目指したもの。本番では残念ながら記録なしとなってしまったが、本番での緊急改修の生々しい跡などが見て取れる。

「ジャイロドスピード」は、縦回転に搭載したジャイロと、最高速度が時速60キロメートルが特徴のモンスターで、本番では僅差ながら優勝を飾った。

T工大(H-03-02)のモンスターは、「シリンダック720」と「ホバード」。

「シリンダック720」は、アヒルちゃんが座ったトイレがエアシリンダーで飛び上がり、曲がって伸びるリンク機構の脚部により、前方へ2回転して着地する。シンプルな構造が功を奏し、見事に本番で優勝を果たしたモンスターだ。

「ホバード」は、水平方向に回転するジャイロを搭載し、スタート時にCO2ボンベで加速するキックスケーター。

また、T工大のブースでは、ホバードを手のひらサイズに縮小した原理模型により体験デモも行っていた。3Dプリンター製の車体に電動ジャイロの代わりに地球ゴマを搭載し、手回し発電機を動力源にして、模型用の小型モーターで細い一本橋の上を走らせるというもの。地球ゴマをできるだけ高速に回し、発電機を素早く回すと、バランスが崩れる前に走りきることができ、この競技のエッセンスを身をもって知ることができる。

Pナソニック(H-03-01)のモンスターは、「P:air cylinder」と「HEY☆コウノスケーター」。

「P:air cylinder」は、エアシリンダーで1.2メートル跳び上がり、塩ビパイプ製のフレームによって着地時の姿勢を保つことを目指したもの。展示はモンスターそのものだけでなく、生け贄の開示から完成までに、どのようにモンスターの構成要素を確定し、各要素技術を詰めていき、最終的に統合していった過程についても解説していた。

「HEY☆コウノスケーター」は、水平回転するジャイロを搭載した電動キックスケーター型のモンスター。ブースではデモンストレーションを行っており、走行はさせないが、キックスケーターがジャイロ効果により実際に自立する様子を見ることができた。

電動マッサージ器とワニちゃん水鉄砲

今年の5月に放映された第11回「電動マッサージ器 25mドラッグレース」と、6月に放映された第12回「ワニちゃん水鉄砲 バースデーケーキろうそく消し」にて競った、とよはし☆魔改造プロジェクト(T橋技科大)、スズキ株式会社(Sズキ)、マブチモーター(Mブチモーター)も、Maker Faire Tokyoの会場に現れた。今年7月の「Hamamatsu Micro Maker Faire 2024」に続いての、3社そろい踏みでの参加となった。

とよはし☆魔改造プロジェクト(F-06-04)のモンスターは、「黒い雷G」と「ワニ大学ワニ学部」。

「黒い雷G」は、2台の電動マッサージ器の振動を、樹脂製の足によって進む力に変えて走行するモンスター。リモコンも電動マッサージ器の筐体を改造したところがこだわりのひとつ。

「ワニ大学ワニ学部」は、本来3匹のワニからなるモンスターだが、大きくかさばるため会場には1匹のみの展示となっていた。

スズキ株式会社(SP-04-04)のモンスターは、「DEN-RACE Solo」と「ワニワニVan Bang Burn!」。

「DEN-RACE Solo」は、電動マッサージ器に、ホームセンターで購入した農機具洗浄用の大型ブラシ取り付けた構造の優勝マシン。他にもブラシを2つ使った開発時のプロトタイプも展示。ブース前では定期的にデモ走行を行っていた。

「ワニワニVan Bang Burn!」は、ニ鈴(にりん)ちゃん、魔鈴(まりん)ちゃん、四鈴(よりん)ちゃんの3尾が役割分担し、連携することでロウソクの火を消すことを狙った、異形のワニ型モンスター。

また、同ブースではバイクのパンフレットを模して作られた、8ページオールカラー製の「DEN-RACE Solo」のパンフレットが配られていた。

マブチモーターのモンスターは、「電馬号」と「ぶっちげーたー」だが今回は電馬号のみの展示。なお、マブチモーターは今回、スズキ株式会社のブース(SP-04-04)に間借りしての出展となっている。

「電馬号」は、電動マッサージ器を改造して、ヘッドが縦方向に振動することで、地面を蹴って進むというモンスター。

その他の『魔改造の夜』関連の展示など

これまでに、第1弾の「トースター高跳び」(2020年6月19日放映)と「ワンちゃん25m走」(2020年6月26日放映)、第7回「ホームベーカリー パン大食い競争」(2023年11月30日)、第8回「カメレオンちゃんダーツ」(2023年12月28日)と、最多の出場回数を誇るのがT大こと東京大学魔改造研究会(H-04-05)も今回初めてMaker Faire Tokyoに参加。

「投星(トオスタア)」、「徹犬(テッケン)」、「塔長大が食う(とうちょうだいがくう)」、「CampuSniper(キャンプスナイパー)」と、これまでに魔改造したすべてのモンスターを持ち込んでいる。

つくる~む海老名(H-05-05)では、Rコーとして参戦した際に魔改造した、5匹のペンギンからなる縄跳びを跳ぶモンスターの「PENTA-X」を、2022年のメイカーフェアで展示したことがある。

今回は、そのPENTA-Xを小型化し、卓上サイズで再現した「卓上PENTA-X」を出展していた。自動モードと手動モードがあり、自動モードではスイッチを入れると両サイドのペンギンが縄を回し、中央のミニPENTA-Xがそれに合わせて自動的に飛び続ける。手動モードにすると、回るロープに対して人間がタイミングよくボタンを押すと、上手くロープを飛ぶことができる。

KM1ユーザー会 with T芝 魔改造倶楽部(H-04-02)のブースでは、第7回「ホームベーカリー パン大食い競争」(2023年11月30日)、第8回「カメレオンちゃんダーツ」(2023年12月28日)に出演したモンスター、「カラクリ妖怪儀メレオン★」と「美食魔物べいかりあす」のミニチュア版と出展していた。いずれも実物の1/10サイズで、形状やデザインが精密に再現されている。

また、「美食魔物べいかりあす」の操作の練習用に作られたシミュレータの出展され、来場者も体験できるようになっていた。シミュレータは、アニメーションオーサリングソフトのAdobe Animateで作られており、実際の競技で使用されたコントローラで実物と同じ操作方法となっている。

なお、今回Maker Faire Tokyo 2024に出展した『魔改造の夜』に参加したことのある出展者有志による、スタンプラリーも行われていた。過去に番組参加者が集まるコミュニティにおいてアイデアが持ち上がり、T芝の方が音頭を取って実施されたとのこと。

アイデアが出たのが、Maker Faire Tokyo開催のわずか1カ月までだったにもかかわらず、Maker Faireには参加していないメンバーがデザインしてくれるなど、番組参加者たちの協力のもとで実現に至ったそうだ。