Fabrication

2009.11.12

Cory Doctorowの新刊「Makers」

Text by kanai

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[US版の表紙]
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[UK版の表紙]
「Make」のコラムニストでBoing Boingのスーパーブロガー、Cory Doctorowは、新作小説を発表した。その名も『Makers』だ! さっそく1冊手に入れて読み始めた。今のところ、すごく面白い。Coryの小説は、いつも奇抜なアイデアや、技術と文化のハッキングでビリビリしている。ずっと未来のことのようであり、ご近所の汚い倉庫やナード君の地下室なんかで、すでに実現していることのようでもあり。『Makers』もそんな 1 冊だ。
Coryは最新作について、こう語っている。

今日は、私の新刊、Makersの発売日です。これは、ハードウェアやビジネスモデルや日々の習慣をハックして、経済がトイレに流されそうなほど落ち込んでいる時代を、活き活きと楽しく生きようとうする人たちの話です。この小説は、ITバブル崩壊後、あらゆる資金が干上がってしまったシリコンバレーで私が見た、驚くべき創造性とエネルギーの開花を物語化したもので、奇妙なことに、今の経済危機が始まる数年前に書き上げていました。
それ以前の私の小説もそうですが、本書は丸ごと、クリエイティブ・コモンズの非商用-継承ライセンスの元で、無料でダウンロードできます。これにあなたの話を加えてリミックスすることも自由です。非商用である限り、あなたが作り直した話を再配布することもできます。これに先立て発表した2冊の本と同様、本書でも、私が創設したユニークな寄付プログラムと連動しています。これは、寛大なみなさんに、学校、大学、図書館、シェルター、刑務所など、現金の不足に悩む施設への援助をお願いするためのものです。

「Publisher’s Weekly」の書評。

この力作の中で、Doctrow(Little Brotherの著者)は SFで使い古された2つのテーマの矛盾を持ち出している。つまり、アメリカの衰退と、オープンソースとハッカーの文化の際限なき楽天主義だ。これを使って、サイバーパンクがその鏡像を浮き彫りにしてきた近未来の、もっとも輝かしい残り物を描いている。典型的なガレージ派の天才ギーク、ペリー・ギブソンとレスター・バンクスは、増大する技術的ジャンクの山からインスピレーションを掘り当てるトラッシュハッカーだ。スーツ組や頭の切れるレポーターのスザンヌ・チャーチの気を惹くために、彼らは小型の3Dプリンターの開発に着手する。肥満化したクラウドソースのテーマパークを正そうとするのが狙いだ。その結果は辛辣なほどにリアルだ。ありきたりの、容易に予想がつく結末を魔法のように回避している。ところどころに時代背景と詳細に矛盾が見られるが、Doctrowのビジネス戦略の組み合わせ、卓越した商品アイデア、爆笑ものの洞察には、高速展開の物語を一気に読ませる力がある。

やったね、Cory!
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訳者から:もちろん、ハードカバー本もあります。
– Gareth Branwyn
原文