Fabrication

2009.12.24

オープンソースハードウェア2009 – 2009年版オープンソースハードウェアプロジェクト徹底ガイド

Text by kanai

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今年もやってまいりました、2009年版オープンソースハードウェア徹底ガイドです。ところで、オープンソースハードウェアとは何でしょう? これは、作者が、すべてのソースコード、回路図、ファームウェア、ソフトウェア、材料リスト、電子部品リスト、設計図、プリント基板ファイルなど、そのハードウェアをそっくりそのまま作れる情報を公開しようと決意したプロジェクトのことです。また、その利用法には、商用を含めて制限がありません。Linuxのようなオープンソースソフトウェアに似ていますが、これはハードウェアを主体とするものです。
毎年、オープンソースハードウェアのガイドを作っていますが、今年はなんと、19カテゴリーにわたる125種類の製品とキットがあります。2008年は60種類だったので、2倍以上です。これはすごい! Arduinoはすでに有名だけど(推定出荷数は10万ユニット)、ほかにもエキサイティングなプロジェクトがたくさんあって、コミュニティも盛り上がっている。このガイドには、そのほとんどが網羅されているはずだ。このなかの一部の製品やキットはMakeのショップでも販売している。その他は、Maker自身が販売していたり、販売業者から販売されている。でもこれはオープンソースなんだから、自分で作ってもいいんだ。それを元に商売を始めてもいい。なんでもアリなのがポイント。
今年は、みんなにお願いがある。WikipediaのOpen source hardware の項(英語版)の執筆を手伝ってほしい。まだまだ漏れているプロジェクトがある。よかったら、ここで紹介するプロジェクトがすべて網羅されるように記事を書いて、完璧な内容にしてほしい。Wikipediaの記事に掲載されているものには、オープンソースとは呼べないものもあるけど、それはあとで議論しよう。少なくとも、このガイドで紹介するプロジェクトは、実際にオープンソースハードウェアを実践している人間が選んだオープンソースハードウェアだ。
このMakeバージョンのガイドではそれぞれのエントリーのページへのリンクを入れることにしている。 Maker Shedで販売しているものについては、それとは別にリンクを入れておくので、オープンソースハードウェアを支援したい、または製品やキットを購入したいという方は利用してほしい。2009年版ガイドはすごく大きくなってしまうため、ひとつの記事には書ききれない。そこで、18のカテゴリーに分けて紹介しようと思う。
日本語版編集から:日本語版では一部の記事を選んで翻訳・掲載します。ご了承ください。

  • 3Dプリンター – オープンソースハードウェアは、物を作るようになった。物理的な物体をプリントできるようになったのだ。この数年で、2~3件のプロジェクトが目覚ましい発展を遂げ、低価格のデスクトップ3Dプリンタを実現した。Fab@Home、MakerBot、RepRapといったプロジェクトだ。今年は新しいプロジェクトが加わった。個人的な実験にぴったりの、DIYオープンソースコンストラクションセットだ。(エントリー[日本語版]を見る
  • Arduino – Arduinoはオープンソースの電子回路のプロトタイピングプラットフォームだ。柔軟で簡単に使えるハードウェアとソフトウェアで構成されている。アーティストやデザイナーやホビイストなど、インタラクティブな作品や環境を作りたいあらゆる人のために開発された。おそらく、今日もっとも成功したオープンソースハードウェアだろう。このガイドにも相当数が含まれている。(エントリー[日本語版]を見る
  • Arduinoシールド – 2009年に、ものすごい数のシールドが発表されたため、新カテゴリーを立てることにした。シールドとは、音楽やインターネットやGPSなど、Arduinoに機能を追加するボードのことだ。(エントリー[日本語版]を見る
  • 点滅プロジェクト -オープンソースハードウェアには、ピカピカ光るものが多い。はっきり定義するのは難しいけど、それらを点滅プロジェクトとしてまとめることにした。”ラーセン(サイロン)スキャナ”から自転車のスポークに文字を浮かび上がらせるものなど、どれもLEDを光らせるためのプロジェクトだ。(エントリーを見る
  • 時計– 今年は、じつに”タイムリー”なカテゴリーができた。時計だ! レトロなロシアの真空管時計からオープンソースの腕時計まで、すべてオープンソースで時宜にかなったものだ。(エントリーを見る
  • カルチャージャミング – これらはハードウェアがオープンなだけでなく、我々の心も少しだけオープンにしてくれるというもの。携帯電話妨害装置、あらゆるテレビを消す装置、それにオープンソースの家庭用セキュリティー非殺傷兵器だ。(エントリーを見る
  • 開発プラットフォームとツール – ツールとプラットフォームという大きなカテゴリーだが、チッププログラマーやミニコンピューターやデバッギング用ハードウェアなど、プロジェクトを作るためのプロジェクトだ。(エントリー[日本語版]を見る
  • エネルギー、電源、グリーン – 電源を供給したり、電源デバイスに関連して仕事をしたり、いろんな方法でエネルギーをモニターして地球を救うものたちだ。(エントリーを見る
  • ゲーム、娯楽 – 本当に楽しいものたちだ。ネットに接続できるセットトップボックスや、自分で作れるゲームやゲームシステムなど。(エントリーを見る
  • 画像 – このカテゴリーはまだひとつしかないが、出発点としてはすばらしい。オープンソースのカメラだ。まだ、お手頃価格にはなっていないけど、この分野のパイオニアだ!(エントリーを見る
  • 医療とバイオ – 医療とバイオの分野のオープンソースハードウェアだ。まだ数は少ないけど、この5年間で最高の点数になった。オープンソースの医療機器が世界中で使われるということが、オープンソースハードウェアを進化させるうえで、もっとも理に適ったステップじゃないかと思う。その第一号プロジェクトを見てほしい。(エントリーを見る
  • 音楽 – 音楽は、大きなカテゴリーのひとつだ。シンセサイザー、ギターアンプ、MP3プレイヤー、アーケードMIDIデバイスなど、オープンなだけでなく、非常に音楽的(音楽は昔から伝わる “オープン情報” のひとつ)だ。2つの “いいこと” がひとつになったわけだね。(エントリー[日本語版]を見る
  • プロセッサー – 自分でオリジナルのチップを作ることができる。これをやっている人たち全員に会ったけど、なかで2つばかり、CPUと内部配線を公開している大きなプロジェクトが進んでいる。自宅で気軽にチップを作れるようになるまでには、まだ数年かかりそうだけど(Jeriとか)、ちょっと様子を知っておこう。(エントリーを見る
  • 宗教 – オープンソースハードウェアは宗教の世界にも浸透している。LED式のユダヤ教の燭台から点滅するクリスマスカードまで、これらは点滅プロジェクトにも入るけど、別にしたようがよさそうだ。ほかの宗教でも、ハードウェアはすぐにオープンソースになるね。(エントリーを見る
  • ロボティクス – モーターの制御から自分で作るロボットアームまで、ロボティクスはオープンソースハードウェアの新しい成長カテゴリーだ。まだそれほど多くはないが、FIRSTなど多くのロボティクスグループがArduinoを使っている。来年には、このカテゴリーの内容は2倍から3倍にふくれあがっているんじゃないかな。その先駆けとなるプロジェクトを紹介しよう。(エントリーを見る
  • 通信 – 電話回線を利用するものや、携帯電話に関連するものだ(というか、携帯電話自体もある)。携帯電話用のソフトではオープンソースが定着しているけど、電話会社と利用者の双方に利益があるとわかれば、電話システムも少しずつオープンになっていくはずだ。(エントリーを見る
  • 交通 – 交通カテゴリーのエントリーはひとつだけ。電子燃料噴射装置のプロジェクトだ。自動車関係のオープンソースはよく話題になるけど、ほとんどが設計のオープン化で、ソフトやファイルをダウンロードできるものは少ない。あと数年もすれば、実際にオープンソースハードウェアの自動車も出てくるかもしれない。そうなったら楽しいね。(エントリーを見る
  • UAV – 無人航空機(UAV)は、人が操縦しなくても自律制御で航行できる飛行機のことだ。アマチュアのUAV愛好家は、軍事やビジネスとはまったく関係ない。アメリカ連邦航空局の特例下で、娯楽用に限って飛行できる。そのため、高度や飛行範囲は厳格に決められている。通常、UAV は離陸と着陸の際はラジコンで人が操作して、安全な高度になってから自動航行に切り替えるようになっている。(エントリーを見る
  • ワイヤレスとGPS – オープンソースのGPSトラッカーから、Arduinoで動く小さなワイヤレスデバイスまで、とても新しいカテゴリーだけど、どんどんその範囲を広げている。(エントリーを見る

なかには、オープンソースハードウェア “らしき” ものも含まれている。しかし、このリストはまだ完璧ではない。この記事を書いている時点では、それぞれのプロジェクトのライセンスの形を確認しているところだ。ハッキリしたことがわかったら、リストを更新する。これだけ大きいリストになると、当然のことながら細かい間違いがあっても不思議じゃない。これから頑張ってチェックするからね。それから、我々が見落としているプロジェクトもあろうかと思う。もし、ここに載っていないオープンソースハードウェアプロジェクトを知っている人がいたら、コメントで知らせてほしい。毎年のことだけど、このリストを発表した直後は、エントリーを加えたり削除したりの日々が続くんだ。

オープンソース・ハードウェアのよき年に乾杯。徹底ガイドを楽しんでね。
– Phillip Torrone
原文