Fabrication

2013.09.19

Autodesk Japanが開発した日本版3D Photoブース

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2013年5月、Maker Faire Bay Area 2013で公開されたAutodeskの3D Photoブースは、常に行列ができる人気の展示だった。50台強の一眼レフカメラで撮影された写真を元に、360度の3Dデータを作成できるというものだ。

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<Maker Faire Bay Area 2013での3D Photoブースの様子。周囲をぐるりと一眼レフカメラと照明に囲まれている>

この3D Photoboothの日本版を、Autodesk Japanの有志3名が、期間約1か月半、週1日、コスト65万円で制作してしまった。きっかけは、日本でのPR用にこの3D Photoブースを貸し出してもらえないかと本社に依頼したところ、紆余曲折あり断念せざるを得なかったことだったという。

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<12台のiPod touchとポータブルLED照明で構成されている日本版3D Photoブース>

PR用途での使用が前提であったが、半ボランティア的な活動ということで、コストはあまりかけられず、既製品を組み合わせて活用するという発想で設計されている。

本国の3D Photoブースで一眼レフカメラ約50台を使用しているかわりに、日本版はiPod touchを12台使用している。AirCameraというアプリでこのiPod touchとiPadを同期させ、iPadから12台のiPod miniのシャッターを同時に切る。撮影した写真はいったんFlickrへアップロードされる。写真データはFlickrからAWS上のプログラムによってAutodeskの提供するクラウド上の写真加工API「Photofly」にアップロードされ、ここで複数の写真データから3Dモデルが生成される。その後、登録したE-mailアドレスへ3Dデータのダウンロード先のリンクが送付されるという流れ。

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<左:撮影の様子、右:実際に撮影された3Dモデル>

123D CatchがインストールされたiPhoneやiPadなどで、メールに記載されたリンクをクリックすれば、自分の3Dモデルをすぐに閲覧することが可能だ。もちろんこの3Dモデルは加工すれば3Dプリンターで出力することもできる。

本国の3D Photoboothは360度の3Dモデルであるが、日本版は予算の都合もあり、低解像度の写真を使用し、180度の3Dモデルとなっている。とはいえ、見た目はかなりよくできており、米国版の3Dモデルと比較しても遜色無い仕上がり。また、このプロジェクトはOpen Designの思想の下で実施されており、ソフトウェア、ハードウェア、オペレーションなどに関する情報を、Maker Faire Tokyo 2013に合せて123D GalleryやInstructablesで共有し、Creative Commonsライセンスの下で公開する予定だという。

製作費用は約65万円。うち約40万円はiPod TouchとiPadの費用だ。ブースのフレームはイベントでの見た目を重視して、展示会用の少し値が張る素材をレンタルして製作したのだそう。これをダウングレードさせればさらに安価に製作することも可能だろう。

この3D Photoブースは9月13日に開催されたAutodesk University Japanで初のお披露目となった。また、11月に開催されるMaker Faire Tokyo 2013でも展示の予定となっている。