2013.12.11
Cortado登場 – ケーブルがいらないArduino
Punch Through DesignのCortadoは、Bluetooth LE内蔵の新しいArduino互換ボードだ。
Punch Throughは、一般消費者向けのiPhoneアクセサリーと、開発者用のiOSライブラリで知られるメーカーで、Maker向けの開発用ボードではあまり知られていない。しかし、Bluetooth LEを使った開発を行っている人には、iOSとOS XのLight Blueアプリはお馴染みかもしれない。
Bluetooth LE内蔵のArduino互換ボードという考えは、新しいものではない。RFduinoはKickstarterで成功を収め、来週には後援者への謝礼が出荷され、続けて一般に販売が開始される。BLEduinoもまた、Kickstarter で成功し、現在出荷準備中だ。
Cortadoの特徴はなんだろう?
それは、ケーブルが1本も出ていないという点だ。スケッチの読み込みはBluetooth LEで行われる。しかも、プログラミングは従来のArduino開発環境ではなく、iPadやAndroidタブレットで、これもBluetooth LEで接続して行える。
これだけ多くの人が、日常のコンピュータープラットフォームをタブレットに移行するようになった今、それも面白いトレンドの始まりになるだろう。開発者がノートパソコンやデスクトップパソコンからタブレットに移行してもおかしくない。
このボードには、デジタルI/Oピンが8本と、アナログ入力が2本、RGB LED、三軸加速度センサーが搭載されている。バッテリーが乗った状態で出荷されるので、事前に携帯にアプリをダウンロードしておけば、配達されたときにわかる仕組みになっている。
Cortadoの紹介ビデオ
Spark Coreと同じく、このボードは「モノのインターネット」に組み込めるよう、ゼロからデザインされている。ただし、WiFiをベースにしていて大量の電源を必要とするSpark Coreとは違い、オンボードのボタン電池ひとつで1年間駆動できる。プロジェクトの奥深くに埋め込んで、そのまま忘れてしまってもいいという設計だ。
私は、出荷開始に先立ち、Punch Through DesignのColin KarpfingerにCortadoについて話を聞いた。
Cortadoが、RFduinoやBLEduinoなどのBluetooth LE内蔵Arduino互換ボードと違う点は?
私たちは、単なるBluetooth LE付きのArduinoではなく、インタラクションの形を変えるものを作ろうとしたのです。そのひとつに、(RFduinoやBLEduinoのようにケーブル接続せずに)Bluetooth LEを通してプログラムができることがあります。それを、かっこよく見せる方法があります。箱から出す前に、メールで受け取ったプログラムをCortadoに読み込ませるのです。それを見れば、インタラクションが変わったのだと実感できるはずです。
Bluetooth LEを使った遠隔プログラミングは主要な機能のひとつですね。どんな仕組みになっているのですか?
プラットフォームに関わらず、Arduinoコードがコンパイルされ、内蔵のカスタムBluetooth LEプロファイルを使ってボードに送られます。WriteWithoutResponseキャラクタリスティックを使っているので大変に高速です。問題回避のためにエラーチェックも行っています。
デスクトップでArduino IDEでプログラムしてプロキシを通して読み込ませることもできますか? どうやるのですか?
Arduino IDEはカスタムローダーアプリを呼び出すことができます。それがコンパイラのHexファイルのパスを渡します。それで、我々のローダーアプリを起動してやれば、それがBluetooth LEのすべての接続を処理してくれるので、あとは普通にArduino IDEが使えます。
iOS(とAndroid)でのプログラムはネイティブなアプリで行えますね。Arduino IDEをモバイルプラットフォームにポートしたのですか? それとも最初から作った?
簡単なテキスト編集機能のあるカスタムアプリを実装しました。まずは今すぐ使えるものを提供して、改良を続けていくというのが私たちのやり方です。追々、あったらいいなと思われる機能を追加していきます。
Arduino IDEはオープンソースですが、あなたがたのiOS(とAndroid)IDEコードをオープンソース化する予定は?
これから2つのアプリを公開する予定です。ひとつはプログラミングを扱うもの、もうひとつはデバッグとインタラクションを行うものです。後者は今ある私たちのアプリ、LightBlueに組み込まれます。プログラミングIDEについてはオープンソース化して、育ててくれる人たちを探したいと思っています。
Arduinoのように、他のブランドへのサポートも考えてますか?
今は、Cortadoを磨き上げることに専念していますが、BLE-Programmingプロファイルを公開する予定なので、他のハードウェア開発者も、それを実装できるようになります。
ボードはM328Pベースですが、それを選んだ理由は?
小さくてどこにでもあるものを使いたかったのです。328Pならみんな知ってるでしょ。
Bluetooth LEモジュールはPunch Throughの独自デザインですね。詳しく教えてもらえますか?
そのとおり。小型の汎用Bluetooth LEモジュールです。今のところ私たちの最高傑作です。来年には、これを組み込んだいろいろな製品が登場します。
既存のモジュールを使わず、独自のBluetooth SoCを作ろうとしたのはなぜですか?
私たちはさまざまなBluetooth LE製品を扱ってきましたが、性能やサポートや価格に問題のある製品もありました。私たちは、Cortadoのようなハードウェア製品に長期目標を立てています。できるだけ最高のサポートをするということです。それには、自分たちでモジュールを開発するのがいちばんです。簡単な道ではありませんでしたが、やってみて、本当に素晴らしい選択だったと思います。
これは Punch Throughの最初の自社開発ブランドとなりますね。これまでiPhoneアクセサリーで名が通ってきたのに、なぜMaker向けのボードを作ろうと思ったのですか?
Makerはイノベーターです。ガレージで作っている人でも、大企業の新部門で活躍する人でも、明日の製品を作る人たちを支援したかったのです。それが私たちのやり方です。何かを作ろうとする人を助けたいと思う私たちの気持ちが形になったものが、このモジュールなのです。
Bluetoothはプログラマーの間では不人気でしたが、Bluetooth LEがそれを変えましたね。その可能性をどう思いますか?
BLEはモノのインターネットやそのデバイスを推進するためのプロトコルです。それを推進するものは、これまでにもいくつかありましたが、ほとんどの主要なスマートフォンに搭載された低電力センサーのために作られたプロトコルという意味には大きなものがあります。
Makerコミュニティに向けた別のハードウェアを開発する予定は?
もちろんあります。しかし、Cortado はとっても革新的なボードなので、今それで手一杯です。
Cortadoは現在Punch Through Designにて予約受付中。価格は18ドル(送料別) 。
– Alasdair Allan
[原文]