2014.09.08
ハードウェアデザインの現場を覗く:あらゆる携帯電話やケースに接続できる薄型のマウント「Linkmount」
これまでにない形のクリップのアイデアを思いついた。3D プリンターでいろいろ検証してからレーザーカットで製作した。
私はToshi Sakaguchi。ロードアイランド州プロビデンスにあるPLUSTというデザイン事務所の共同創設者です。もう一人の創設者は親友でありビジネスパートナーのLukas Scheurerです。私たちは、Rhode Island School of Design(RISD)の工業デザイン科の卒業生です。
学生時代、Lukasと私はいくつかのプロジェクトを共同で行い、工業デザイナーになってからは、想像しているものを実体化する技術を習得してきました。そうしたプロジェクトを通して、私たちは独自のデザイン方法を開発しました。それが、特許出願中の発明につながったのです。
私たちは、卒業するまでに、いっしょに1万時間、デザインを行ってきました。素晴らしいデザインをたくさん生み出したと自負しています。しかし、卒業が眼の前に迫ると、急いで決断しなければならないことが持ち上がりました。就職するか、それとも起業するかです。私たちはスタートアップの道を選びました。その決断の以来、想像もしていなかった数々の困難に遭遇し、それを乗り越えてきました。しかしそんな苦労があったにせよ、私たちは起業の決断を曲げることはありませんでした。なぜなら、世界は少しずつ、ゆっくりと、イノベーションを許容し、奨励する方向に変わってきたからです。
RISDは、Makerにとって夢の学校でした。そこでは、考えられる限り、あらゆる工具が使えました。卒業してすぐ、Lukasと私にはMaker禁断症状が現れました。自分たちのアイデアを実体化するために必要な工具がないことに気がついたのです。工具がなければ、私たちは陸に上がった魚です。何も作れません!
私たちは、必要な工具を手に入れるための先行投資をすることで自力で起業することにしました。CNC、3Dプリント、CAD技術が手頃な価格で使えるようになったお陰で、驚くほどのデスクトップ製造能力を手にすることができたのです。
私たちはRISDで、アイデアを実現するための唯一の方法は、できるだけたくさんコンセプトを形にして検証することだと習いました。自分たちですべてのプロトタイピングを行えば、過激なアイデアを追求して、リスクを負い、創造的に失敗することができます。
シンプルなコンセプトも開発を進めるうちに機能を増していく。プロトタイプは私たちのCNCルーターとMakerBot2xで作っている。
こうした技術を使いたいときに使えるのは、とても有り難いことです。私たちは、創造性の時代として後に知られるようになる時期に入ろうとしているのだと思います。
私たちは今、初めてのKickstarterプロジェクト、The Linkmount Systemを立ち上げて興奮しています。Linkmountは、実質的にあらゆる携帯電話やケースに接続できる薄型のマウントです。取り外し可能なストラップ、リングスタンド、三脚用ネジから構成されています。自動車や家の中で重宝な磁石マウントもあります。工房でなくしがちな小さなツールを、なくならないようにつないでおくこともできます。磁石マウントのCADデータは公開予定です。
少々の生産ならMakerBotで行える。単純なマウントは400個以上プリントした。
Linkmountは自宅で作っているので、細かいところまで眼が届く。
クローズドベータ用プロトタイプを組み立てているところ。大量生産する前に製品をテストしたい。
信頼できるベータテスターが100人以上いるので、頑丈で高品質なLinkmountをお届けできる。
完璧なレーザーカット・クリップを作るまでに何百もの変更を加えた。
レーザーカットは安価で、しかも複雑なパーツを効率的に作れる。
3Dプリントでは細かすぎる部分は2倍に拡大してプリントした。
私たちはMakerムーブメントの創造力を信じています。メイカームーブメントのルーツはオープンソース素材にあり、アイデアを複製し、共有し、それを元に作っていくというやり方で大成功を収めたMakerたちを見てきています。こうした理由から、私たちは製品のCADファイルを公開します。私たちと同じように情熱的なMakerたちの、それぞれの必要に応じたイノベーションに役立つことを願っています。私たちもまだ思いつかないようなアイデアを生み出して欲しいと思っています。Linkmountシステムをみんながどのように使ってくれるか、それを見るのがとても楽しみです。
– Plust
[原文]