Electronics

2015.11.09

Element14がカスタムRaspberry Piのバルクオーダーを開始

Text by David Scheltema
Translated by kanai

Raspberry Pi財団と電子機器流通業者のElement14は、Raspberry Piのカスタマイズのための独自プログラムを開始すると発表した。ある程度のまとまった数のボード(3000から5000枚)を注文すれば、Element14はカスタムデザインをエンジニアリングして製造してくれるというものだ。カスタムPiで可能になるのは、次のようなことだ。

・ボードレイアウトの変更
・新しい部品の追加またはメモリー量の変更
・ヘッダーピンやコネクターの追加または削除

2012年に財団が設立されて以来、Raspberry Piは世界中で700万ユニットが販売された。その多くは、工業あるいは商業的な用途に使われている。このプログラムによって、より用途に適したRaspberry Piが、もしかしたらもっと安くできるかもしれない。Raspberry Pi財団CEOのEben Uptonが言うには、今年は300万ユニットを販売する予定で、そのうち100万ユニットはマシンのオートメーションや制御といった工業目的で使われる。Raspberry Piを店で買ってきて、アクセサリーボードを開発するほうが、専用の回路をプロセッサーから開発するよりも安くできるからだ。この新しいプログラムが始まれば、企業(または起業家)は、Raspberry Piのデザインそのものを変更して、アクセサリーボードを作らなくても済むようにできる。コストも下げられるし、信頼性も増すということだ。

Customization suggestions from Element14
Element14が推奨するカスタマイズ例

さて、Raspberry Piのカスタマイズが財団とElement14によって認められたことで、これをクラウドファンディングに利用しようと考える人も出てくるはずだ。製品をいちから開発するのではなく、このプログラムとElement14のエンジニアリグサービスを利用して、数量限定の製品をまとめるわけだ。今後のクラウドファンディングプラットフォームに注目しよう。そんな、ハードウェア的に完全互換なハイブリッド、Raspberry Piが現れるかもしれない。また、このプログラムがARMプロセッサーをベースにしたボードに対して、どのような影響があるかも気になる。このプログラムが発表される前、Raspberry Piのメインプロセッサーを製造しているBroadcomは、財団以外にはプロセッサーを売りたくないと話していた。ソフトウェアに互換性のあるRaspberry Piクローンを作ろうとすれば、少ない数でも売ってくれる業者から、似たようなアーキテクチャーのAllwinnerなどを使うことになるだろう。ハードウェアは完全に一致しないが、アーキテクチャーは同じなので、ほぼ同じソフトウェアを走らせることができる。Raspberry PiもElement14も、このプログラムを利用した場合の価格は発表していないが、どれだけカスタマイズを加えるかによって、既存のRaspberry Piとの価格差が出てくるだろう。市販品のRaspberry Piよりも高くなることも考えられる。だが、独自のソリューションが手に入るのだ。

原文