2016年の夏にワシントンD.C.で開催されたNational Maker Caucus Panel(全国Maker代表者会議)で、1人の参加者がこう質問した。メイカースペースはどうしたらもっと地元の製造業者から支援を受けられるか、というものだ。
参加者の顔色や前に乗り出す姿勢から、みんなはその答に注目している様子が見てとれた。パネリストは、製造業者が教育的なメイカースペースを支援していることなどを話し、なかなかいい回答をした。だが、大半の人はもっと話を聞きたがっていた。
そこで私が手を挙げると、司会者が質問かと聞くのでこう答えた。「いえ、先の質問に答えていいですか?」 すると彼女はどうぞと言った。その後、私はNASA Langlayを含む20のメイカースペースから拡張の助けを求められてきた。現在私は、全国のメイカースペースの相談に乗り、コーチを行っている。
より多くのメイカースペースが成長するために、メイカースペースが製造業者とよい関係を作るための8つの方法を紹介したい。製造業者と組むことで大きな可能性が開けてくるのだ。
1. 必要な機材のリストを作る
自分の夢のメイカースペースを実現するために必要な機材のリストは作ってあるだろうか? メイカースペースを運営するなど、良い行いをしていれば、そして何をしてほしいかを的確に申し出れば、誰かかならず助けてくれる。だから、何を作りたいのか、どんな機材や材料が欲しいのかをメンバーと話し合って決めておくことが大切だ。
2. 商工会議所と手を結ぶ
地元の商工会議所とは話をしただろうか? 普通なら、商工会議所は、あなたが会員にならなければ腰を上げてくれないかもしれない。しかし、就職と新しい、または現在のビジネスを保つ新しい資産であると説得してみよう。そして、収入が増えたら会員になればいいのだ。商工会議所は、製造上の助言、オープンハウスの宣伝、大きなイベント、訓練教室、欲しい機材のリストの配布などで協力してもらえる。また、地元の経済発展と保持の責任者を探すことも大切だ。彼らの支持を得ることで拡大が望め、資産にもなり得る。
3. 類は友を呼ぶ… いっしょに飛べる仲間
地元のエンジニアの協会、市民グループ、その他の業界の協会とつながりがあるだろうか? 地元をよく調べて、こうしたグループを招待してスペースを案内することを強くお勧めする。ロータリークラブ、キワニス)、青年会議所、市民団体は、将来に向けて、機材やスポンサーやメンバーを提供してくれる。また、Society Manufacturing Engineering(SME)、Association for Facilities Engineering(施設工学協会)、全米製造業者協会といったエンジニアの団体は、スペースに欲しい機材や技術や才能あるメンバーを備えているので、とても重要だ。
4. いっしょに食事をすれば友だち
大規模な食事会を主催する。全米製造の日に何をしたい? 分野を超えたMakerの円卓サミットを開こう。そして地元のさまざまなグループを招くのだ。学会、ビジネス界、財界、行政、アーティスト団体、地域社会、学生の代表を一堂に集めて作ること、製造に関する問題点を話し合ってもらう。これが実現すれば、驚くような会話が沸き起こる。フードトラックを手配するか、地元のレストランに協力してもらって食事を用意しよう。
5. STEM系職業フェアを主催する
2015年3月14日のUltimate Pi Day(究極の円周率の日)には、9時26分53秒から、私はSTEM関連の職業の大会を開いた。雨の土曜日にもかかわらず、200人を超える仕事を求める人々が80の業種の20人の従業員に会いに訪れた。そのうち20人が採用され、数人が仕事の拡大を実現した。
6. 広告ではなくニュースを利用する
3カ月に1回大きなイベントを開いていればニュースになる。それで、あなたのスペースの考え方を広く世間に知ってもらえるようになる。ここでも、あらゆるメディアに欲しい機材リストを知らせてもらうことが大切だ。そうすれば、メイカースペースは、たとえば地元の工場が多国籍企業に買収されたときなど、大量の古い機材を手に入れることができるようになる。古いと言ってもスペースにとっては新しい機材だ。また不要な機材を売り払えば2万ドル以上の収入にもなる。
7. 他を助け自分のスペースを助ける
たとえば、地元の高校の理系教育サポートチーム、ロボットクラブ、Skills USA、シェル・エコマラソンのチームが、全国大会や国際大会に出場するためのメンバーや指導者や資金を募集していたら、そこと手を結ぶ。メイカースペースは、そうした将来のエンジニアや技士に十分な力を付けさせる助けになれる。このような活動を支援することで、いずれは行政からの補助金がもらえるようになるかもしれない。また高校生自身やその親たちが、スペースのメンバーになってくれることもある。
8. 馬鹿を天才にする
発明家のためのリフトオフワークショップを主催する。発明家は、活動を始めてすぐは馬鹿者呼ばわりされるが、ひとたび金を儲けることができれば、天才に変わる。それが、2015年のエイプリルフールの日から私が開始したワークショップの狙い目だ。Makerを助けることで、特許に関する法律、マーケティング戦略、ビジネス開発、投資戦略といった次のレベルへの発展が期待できる。
メイカースペースは、製造業者を恐れたり、敵対してはいけない。製造業者は我々の支援者、スポンサー、機材の提供者になってくれる可能性があり、さらにはメンバーを雇い入れてくれることもあるからだ。技術的なプロジェクトでは、スペースと下請け契約を結んでくれることもある。
この記事が、多くのメイカースペースの発展に、そして我が国の経済の発展とメイカームーブメントの成功に役立つことを願っている。
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