2016.11.14
CadSoftがEAGLEを7.7にアップデート
今年の6月にAutodeskがCadSoft EAGLEを買収したが、この人気のCAD/CAMメーカーは、今でも前と同じリーダーたちによってソフトウェアを作り続けている。先日彼らがリリースしたのは、プリント基板デザインスイートのアップデート版だ。ここではいくつかの機能が追加され、いくつかが廃止された。まずは、価格で異なるバージョンが何を提供してくれるかを解説し最新バージョンのCadSoft EAGLE 7.7の新機能について詳しく見ていこう。
先に言っておくべきことがある。30日間の無料トライアルが廃止されたことと、7.7を導入するためには、古いバージョンのものは6にアップデートしておかなければならないということだ。ただしアップグレードは無料でできる。また、データの構造が変わった。つまり、6.Xまたはそれ以降でデータを編集すると、6.0より前のバージョンでは編集ができなくなるのだ。といろいろあるが、ともかくEAGLE 7.7の各バージョンを見てみよう。まずは無料版から。
1: EAGLE Express(無料版)
これはEAGLEの無料版だ。プリント基板レイアウトと編集用の最低限の機能をそなえている。これには、回路とプリント基板のデザインのためのCadSoftのSchematic、Layout、Autorouterの各アプリが含まれる。さらに、スケマティックシートが2つ、シグナルレイヤーが2つ、ルーティングエリアは100ミリ×80ミリとなった。非商用の個人向けバージョンだ。
2: EAGLE Standard
無料バージョンとまったく同じで、Schematic、Layout、Autorouterといったコアアプリが含まれるのも同じ。2つのスケマティックシート、2つのシグナルレイヤー、100ミリ×80ミリのルーティングエリアを持つ。これは商用で、1ユーザーごとのライセンス料は69ドル。
3: EAGLE Maker
いいネーミングだ。私が選んだのはこれ。上の2つよりもやや機能が多い。Schematic、Layout、Autorouterを含み、スケマティックシートは99、シグナルレイヤーは6つ、ルーティングエリアは160mm×100mmとなっている。非商用で、1個人あたりのライセンス料は169ドル。
4: EAGLE Premium
これはMakerとまったく同じ内容で、Schematic、Layout、Autorouterのコアアプリも同じ。スケマティックシートは99、シグナルレイヤーは6つ、ルーティングエリアは160ミリ×100ミリ。商用で1ユーザーあたりのライセンス料は820ドル。
5: EAGLE Ultimate
Schematic、Layout、Autorouterのコアアプリは同じだが、スケマティックシートが999個、シグナルレイヤーが16個、ルーティングエリアは4000ミリ×4000ミリとなる。もちろん商用バージョンで、1ユーザーのライセンス料は1640ドル。
6: EAGLE Educational
Maker、またはPremiumと同じ内容で、Schematic、Layout、Autorouterが含まれ、スケマティックシート99個、シグナルレイヤー6つ、ルーティングエリアは160ミリ×100ミリとなる。他のバージョンと異なるのは、教育施設や学校で、教育目的でこのプラットフォームを使いたいという人に無料で提供されることだ。これを使用するには、電子メールのドメインが.edu(教育機関)であることが必要。非商用。
(価格に関する詳細はこのリンクを見てほしい)
では、7.7の新機能や変更点を見てみよう。Net Names on Tracks、Makeボタン、MCAD探査ボタンなどがある。追加機能やバグ修正の前に、新機能の解説をしよう。
1: Net Names on Tracks
さまざまなプリント基板のトラックにネット名が付けられるという便利な機能だ。これにより、特定のルートのトラックに沿って名前が入れられるので、どのトラックがどこのネットにつながっているかがわかるようになる。この機能は自動的に行われる。必要がなければオフにもできる。また、必要があれば、信号やパッドの名称をルート上に表示させるようにもできるオプションがある(その他のオプションもいろいろある)。
2: Makeボタン
これは、プリント基板のデザインを製造に移す準備を自動化してくれる素晴らしい機能だ。プリント基板エディターの中にある「Make」ボタンをクリックすると、製造、組み立て、テストに必要な出力と、Circuits.ioの個人アカウントへのアップロードを自動的に行ってくれる。それを他の人たちとシェアしたり、自分のPCに保存したりできる。XML形式のファイルを製造業者に送って作らせることも可能だ。
3: MCADボタン
プリント基板のデザインをECAD.ioウェブサイトに送り、そこで確認、操作、編集が3Dでできるようになるというボタン。さらに、ECADからデザインを読み込んで、STEP、Parasolid、OBJといった形式でMCADへ書き出すことができる。ライブラリーから部品を選んでデザインに使ったり、実例プロジェクトを利用したりも可能だ。また、BOM(部品表)や製造レポートも作れる。
EAGLE 7.7のアップデートをまとめると、Linux版(OSX 10.8以降)のスクロールバーの見やすさや、基板ファイルを読み込んだとき信号接続の二重の参照を密かに無視する点、ファイルのロックオプションをデフォルトでオフにしてしまう(手動でオンにできる)点などが改善された。また、Process Jobに2つ以上のセクションがある場合に、一部だけしか動作していないかどうかを自動的にチェックするCAM Processorが追加された。
バグの修正は数多くあるが、EAGLEの64ビット版で、古い形式のドローファイルを読み込むときにクラッシュする点、ファイルをTIFFのモノクロ形式で書き出すときに圧縮が戻ってしまう点が修正された。回路図を読み込むときのクラッシュを避けるために、同一のpinrefがないかを確認する機能が加わった。さらにUIも改良され、USEコマンドを使ったときにクラッシュする問題も解決された。詳細はここを見てほしい。
[原文]