Fabrication

2017.09.13

食べられるイノベーション:食べ物の3Dプリントを普及させる「3DigitalCooks」

Text by kanai

シンガポールからアメリカ、そしてヨーロッパ全体に向けて、Edible Innovations(食べられるイノベーション)は、生産から流通から販売までのあらゆるステージで世界の食料システムを改善しようと考えるFood Makerたちを紹介しています。私たちといっしょに、この産業の大きな流れを、Makerの視点で探ってみませんか。優れた教育的な核を持ち、未来への偉大なる挑戦のための主要なツールとしてフードイノベーションを推進するFood Innovation ProgramのChiara Cecchiniが、世界のFood Makerたちの顔、話、体験を紹介します。


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今日は、食品業界の希望のMaker、Luis Rodriguezの話を聞いた。

33歳のスペイン人クリエイターであり頼もしい父親でもあるRodriguezは、3DigitalCooksを立ち上げた。3DigitalCooksとは、食べ物を3Dプリントすることに焦点を当てたスタジオで、そのコンセプトの普及と研究とコンサルティングのための活動を行っている。

これを始めたきっかけは?

すべては、遊びながら学べる趣味から始まりました。5年前、私は初めての3Dプリンターを作りました。ひどい出来でした。すぐ壊れるし、調整に長い時間を要しました。ご想像のとおり、部品や材料に大変なお金をつぎ込みました。破産を防ぐために、私は小さな木工所を閉じて、3Dプリントに専念することにしたのです。しかし、安いプリント用素材がありませんでした。そこで、食べ物で3Dプリントするということを思いついたのです。

それからどうなったの?

正直言って、初めてMaker Faireに出展するまでは、魔法は起きませんでした。私はそこで、ヨーグルトとゼリーを使ったプリントを披露しました。私にすれば、どうってことのないものでしたが、その後、エネルギッシュな大勢の人たちから、意見や感謝の言葉やレシピのアドバイスが送られてくるようになりました。食べ物を通して、まったく新しい形で人々と繫がれるんだということを知りました。言葉は必要ありませんでした。ただ、自分の仕事を自信を持って伝えるだけです。

私は内向的でシャイな人間ですが、このように簡単な方法で人とつながることができ、今もずっとつながっていられることを学んだおかげで、今の自分があります。

3Dフードプリンティングは最高です!

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現在、3DigitalCooksでは何をしているの?

基本的に、食べ物の3Dプリントに関する研究や作品をみんなに発表して喜んでいます。私の目標は、世界を変えるこのテクノロジーを人々に広めることです。私は、私の作品、プロジェクト、アイデアを公開しています。さらに、食べ物の3Dプリントに関するコンサルタントや教育プログラムも実施しています。そしてもちろん、すべての人に先駆けて、毎日実験を繰り返しています。

まだこの技術は完全していないので、これからも努力してゆく必要があります。そして私は、自分が知り得たことのすべてを公開して、技術の発展に貢献したいと考えています。また、これまでに私が学んだことで、すべてのFood Makerたちに力を与えたいと思っています。

すごいわね。食品に興味を持っている人たちに、アドバイスはある?

あります! 3Dプリントは、私たちと食品との関係に大きなインパクトを与えるものです。食べ物を扱えば、私がMaker Faireで体験したようなことを、毎日味わえます。

私は自分のことをMaker Proだとは思っていません。しかし、私はみんなに教えたいのです。私の仕事を必要としている人がいるかも知れないという想定で、私はこれを始めました。これまでに私は、食品専用のプリンターを5台作りました。エクストルーダーも、アプリケーションも、レシピも開発しました。私のYouTubeチャンネルを見ていただければ、私の冒険の様子がわかります。食品の3Dプリントのチュートリアルや実験映像もあります。

YouTubeチャンネルに加えて、GitHubInstructablesも見てもらえるとうれしいです。質問もお待ちしてます!

そして、次なる目標は?

私の起業家としての旅では困難が続いていますが、「自分の好きなことをやって金を稼ぐには時間がかかる。それを覚悟して、その過程を楽しめ」というのが私の哲学です。

その哲学に従ってゆけば、次のステップは食品の3Dプリントを教える学校を開設することです。どうしても、やらなくっちゃ!

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原文