2016.09.20
ガラスのような仕上がりの砂糖3Dプリント
MITメディアラボがガラスの3Dプリンターのビデオを公開すると、それはVictor Leungの心に火を付けた。彼はそれに大変な影響を受け、砂糖でプリントする3Dプリンターの開発を開始した。砂糖は溶かして層にする。仕上がりはガラスのようだ。
Victorが開発した、溶かした砂糖の3Dプリンターは、カラフルな彫刻を作る以外には特に目的がない。食べるにはあまりにも不健康だ。高温で溶けてしまうし、虫を呼び寄せることもある。しかし、その本当の目的は、3Dプリンターを可能にした技術を深く学ぶための学生教育にあった。複雑なCNC制御のロボティクスや素材科学を理解することで、3Dプリンターは、その2つの科学の融合体であることがわかる。
下に掲載した作品は、11日間ロボティクスワークショップからのものだ。これはMakeblockをスポンサーとして、Architectural Association Visiting School(香港)でVictorの主催によって開かれた。学生たちはCNCの制御理論、ロボティクス、プリントを学んだ。このワークショップでは、学生たちも砂糖プリンターで作品を作った。ワークショップの詳細やこのほかの作品の写真はVictorのサイトで見られる。
このプロジェクトについて、Victorに話を聞いた。
何に影響されたのですか?
MITメディアラボが開発したGlass 3Dプリンターです。摂氏1,000度の溶けたガラスでプリントするというものです。砂糖はガラスとよく似た性質を持っています。温度によって粘度が変化します。私はGlass 3Dプリンターの炉の設計と、重力を利用したフィーディングの構造に学びました。
いちばん難しかったことは? また解決に苦労した問題点は?
プリントノズルと砂糖のタンクは自作しました。その設計には多くの条件がありました。タンクは防水でなければならず、摂氏150度の温度にも耐えなければなりません。砂糖液を温めておくためのヒーターと温度を一定に保つための断熱材も必要です。底から熱電対を通してノズルにつながります。すべての部品は簡単に水で洗えなければなりません。
もう一度作るとしたら、どこを改良しますか?
今後の仕事は決まっています。たとえば、重力ではなく高い圧力をかけて砂糖液を押し出すようにするとか。こうすると小さなノズルが使えるようになり、解像度が上がり、プリント速度も速くなります。平らでないプリントベッドにプリントできるようにもしたいですね。
もっとも便利だったツールは?
ひとつを挙げるのは難しいですね。このプロジェクトには多くのツールが必要でしたから。Makeblockのコンポーネントは非常に役に立ちました。互いにフィットするパーツを作る上で、大きな時間の短縮がはかれました。アルミでパーツを作るのに使ったウォータージェット・カッターも汎用性が高いマシンだと感じました。私はアセンブリーやカスタムパーツの設計にRhino 5.0を使っていますが、これも大変に効率的です。
DIYロボティック・コンストラクション・プラットフォームのMakeblockは、知識的背景のない学生たちがロボットやマシンを作る上で、どのように役に立ちましたか?
Makeblockのパーツはネジなどを使って簡単に接続ができて、正確なマシンが作れます。金属加工の経験のない学生も、個々のパーツを作るという手間をかけずに、マシンを組み立てることができました。すべての部品は4ミリのモジュールで作られているので、互いの接続が簡単にできます。Makeblock のコンポーネントはどれも再利用が可能なため、間違いの修正や、新しいものへ改造することも簡単にできます。従来の機械製作の方法では不可能な、クリエイティブな実験ができるのです。(英語版編集者注: このワークショップはMakeblockがスポンサーを務めました)
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