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2018.05.25

難民でいること、無抵抗でいること、惨めで、非力でいることの苦痛を忘れられる難民キャンプの中のメイカースペース

Text by Liam Grace-Flood
Translated by kanai

Liam Grace-Floodが世界のMakerカルチャーやメイカースペースを訪ね歩いた1年間の記録をお伝えする「オープンワールド」シリーズです。


ヨーロッパにこれ以上難民が入らないようにと、EUとトルコとの間で取り決めがなされてから2年になる。それでもまだ、ギリシャ中の難民キャンプには、いつ終わるとも知れない難民生活を送る人々が何千人といる。この問題は人々の意識から消えつつあるが、安全な場所を求める人たちの境遇は改善の見通しが立たないままだ。彼らの故郷はまだ戦争状態にあり、EUはかたくなに彼らを拒んでいる。

Habibi.Worksは公式のFabLabだ。厳しく混乱した場所で、ひとつの光明として存在している。ここは、昔ながらの一方的な援助に幻滅し、難民たちが自分の人生を取り戻し、技能を身につけ、必要なものを自分たちで作るための場所を作ろうという支援者たちによって設立された。

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Habibi.Worksに集まった人々

難民コミュニティの緊急の要請に駆り立てられたHabibi.Worksには、多くの人が切望する本当のメイカースペースの理念が生きている。完全にオープンで、知識を分け合い協力し合うことに寛容で、なんであれコミュニティの必要に応じて柔軟に対応する。ここで6週間ボランティアを務めた私は、Habibi.Worksの真の協力と助け合いの文化に感銘を受けた。

設立当初、スペースもボランティアも、非常に限られた資源に頼って活動していた。長く働いているボランティアは、半分冗談で、難民がプロジェクトに料金を払おうとしたり、とくに怖い顔をした特定のボランティアに金を払おうとしたことがあると話してくれた。今では、Habibi.Worksはいくらか定着してきたが、いまだに助け合いは続き、スペースは難民キャンプの住人の住居であり、ボランティアの住居にもなっている。みんなは、コミュニティのために協力して食事を作り、スペースの改善や、互いのプロジェクトに力を貸し合っている。

言葉の壁はあるものの(キャンプの住人はアラブ語、ファルシ語などしか話さないのに対して、ボランティアは世界中から集まっている)、みんな本当によくやっていると思う。実に協力的だ。現在、スペースには、木工用と金属加工用の工房があり、誰でも使えるコンピューターが20台、オキュラスリフト1台、3Dプリンター数台、レーザーカッター1台、テキスタイルとスクリーン印刷用スタジオ、忙しいキッチン、アートスペース、それに、ピンポンで遊んだり、食事をしたり、ミーティングが行える、広さが変えられるフリースペースがある。さらに外へ拡張して図書館や(まだ建設中)、ジオデシックドーム(主に女性問題について話し合うミーティングルームになっている)や、屋外ジムやバレーボールコートも作られている。

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Habibi.Worksで作られた人力車。キャンプ・カツィカスにて

私がいる間、1日に最大で60名ほどの人たちがHabibi.Worksにやってきて、働いたり、時間を潰したりしている。カツィカスの難民キャンプから道を挟んですぐのところにあるので、周辺地域の数カ所のキャンプからバスで来る人もいる。

現在、世界から集まった10名のボランティアがスペースの運営を手伝っている。語学教育、社会的起業家になるための心構え、刺繍、デジタルデザインなど、さまざまなワークショップを開いたり、材料やツールや資金などを調達するために外部の組織と交渉したりもしている。

ボランティアは工房の2階で共同生活をしている。それが、私が今まで見たこともないようなメイカースペースの雰囲気を作っている。部屋に山ほどのツールがあるが、ここは住居なのだ。キャンプ・カツィカスのすぐ近くにあることで、本当に生活と仕事が密着したコミュニティという感じがする。ボランティアは、仕事が終わるとよくキャンプへ行き、人々と触れ合い、仕事を続ける。その逆もある。みんなが一緒になって、本当の共同体を作っているという空気が伝わる。みんなが一緒に暮らし、食べ、働く。明らかにそれが、共同体としての助け合いの文化に寄与している。

私は、スペースの共同創設者でありプロジェクトリーダーでもあるMimi Hapigに、このスペースを特別なものにしているのは何か、そして彼らの知られざる苦労についても聞いてみた。以下の文章は、話を簡潔に伝えるために編集を加えてある。

本題に入る前に、あなたはHabibi.Worksの利用者たちのことを、どう表現しますか? コミュニティの仲間、亡命希望者、難民、それとも別の呼び方がありますか?

状況によりますね。私がもし国連難民高等弁務官事務所の人間だったなら、難民と亡命希望者との間には大きな違いがあります。彼らをMakerと呼ぶこともあるし、キャンプ・カツィカスの住人と呼ぶこともあるし、コミュニティの仲間と呼ぶことともあります。それは誰に話をするかで違ってきます。コミュニティの仲間というのは、少々楽観的かも知れません。なぜならキャンプの生活は、最初からコミュニティだったわけではないからです。それが、私たちが見てきたように、だんだんコミュニティに発展してきたのです。

しかし全体として、私たちはこのスペースの利用者を「人」と呼んでいます。なぜなら、彼らは人だからです。彼らは、難民キャンプで暮らすという非常に特殊な状況に置かれています。しかし、この願わくば一時的な境遇を除けば、彼らは私たちと同じ、普通の人なのです。

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Habibi.Worksの新しい図書館の屋根を作っているメンバー

メイカースペースを作ろうと思うようになったきっかけは?

2016年にHabibi.Worksを設立する前は、FabLabやメイカースペースというものを聞いたこともありませんでした。共同創設者のFlorianは3Dプリンターのマニアで、ドイツで本も出版しています。私たちが2016年の3月にキャンプ・カツィカスに来たとき、まだキャンプが設置されたばかりのときで、建物も、道具も、材料も、人々が活発に働けるための基盤もありませんでした。Florianは、FabLabムーブメントやMakerムーブメントに近いところにいたので、メイカースペースを作るというのは当然の成り行きでした。

現在、ここはFabLabとして登録されていますが、デジタルファブリケーションから外れる分野に対応したスペースも数多くあります。デジタルファブリケーション技術は、専門分野への入口として今後ますます重要になると私たちは信じていますが、伝統的なアプローチの価値も重視しています。私たちは、新旧の技術を組み合わせるのが良いと考えています。Habibi.Worksには、さまざまな経歴の人たちが集まってきます。そんなすべての人たちのクリエイティブな技能、目標、コラボレーションを支援するための資源を掻き集めたいと切望しています。

Habibi.Worksの使命と今後の展開は? 政治的なものですか?

Habibi.Worksはただ、公平な世界、結束した生活、目の高さの日常生活を作ろうとしているのです。人には、どこで自分の人生を過ごすか、どこで子どもを育てるか、どんな仕事に就くかを選ぶ権利があるべきだと私は確信しています。そして、ヨーロッパに来た人は、私たちのコミュニティを豊かにすると確信していますが、彼らには不公正な限られた機会しか与えられていません。Habibi.Worksは、そこに小規模ながら斬り込もうとしています。それは、人が活動的になれるための基盤、自信と力を身につけるための基盤、出会いのための基盤、教育、そして社会的価値の実例を提供するための基盤です。

私が考える上で、それは政治的な問題です。2015年の12月に「Soup and Socks」という組織を立ち上げたとき、それはあまり政治的なものではありませんでした。それはチャリティーのひとつの手段だったのです。そして、そこに何らかの変化を起こすことに私は強い興味を持ったのです。私は、他人への援助が目標額に達したところで終わりだとは考えたくなかった。今プレイしているゲームに疑問を感じて欲しかった。そういう考え方の範囲で行動するかぎりは、政治的に批判的になることが大切であって、意識を高めて、今私たちが浸っているシステムに疑問を持つことが重要なのです。

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Habibi.Worksから道を挟んで向かい側にあるキャンプ・カツィカス

Habibi.Worksのどこがもっとも特別ですか?

私たちは、できるかぎり階級を平坦にしようと思っています。支援組織の中では、そこがもっともユニークな点だと私は思います。そしてそれが、自分たちを助っ人だと考えている人たちと違うところです。たとえば、私たちは、人を助けるという言い方は決してしません。私たちは人を支えるのです。なぜなら私たちにとって、この状況に置かれた人は、単なる対象ではないからです。彼らは頼りないわけではありません。単なる犠牲者ではありません。自分たちと周囲の人たちのための問題を解決するための技能を持ちながら、それを活かすための機構や支えがないだけです。このアプローチは、私たちのプロジェクトやここでの境遇に対してだけでなく、世間一般に対しても適用できるものです。

階級というところが気になります。Habibi.Worksの共同創設者であり、プロジェクトリーダーであり、長い間ここで活動してきたあなたは、知識を持たない人たちに頼りにされる存在です。また、あなたは最終的に判断を下す人です。そうした階級の自然形成とは、どんな感じでしょうか。入れ替わりの激しい製品のようなものでしょうか。

まさに、おっしゃるとおりです。最初、私たちは、物事をきわめて民主的に決定するチームから始まりました。そこでは階級は非常に平坦でした。しかし、ここで長く活動していると、その人はどんどん経験を積んでいくため、その人にものを聞くのがもっとも論理的になってきます。あなたが言ったとおり、何かを決定する段になると、ここで決断を下し、その下で生活してきた人のほうが、3週間ほどボランティアをして、その成り行きを見ることなく去ってしまう人よりも、発言権が強くなるのは明らかです。

これがオープンに知らされているなら、私はかまわないと考えます。それよりももっと気を遣わなければならない問題は、情報へのアクセスです。情報へのアクセス権をみんなが平等に持てないなら、決断を下したり支持するチャンスを平等に得ることができません。常に全員が平等な決定権を持っているわけではありませんが、そのプロセスは常に透明にしています。もちろん、これは大きな戦略的な決断の場合です。日常的な決断ならば、すべての人が目線の高さに立ち、平等な責任で決断が下せると思います。

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キャンプ・カツィカスに建てられた時計塔

先日、キャンプ・カツィカスのいちばん新しい世代の難民が作った時計塔のことを話してくれましたね。そのことを詳しく教えてください。他にもHabibi.Worksで作られた面白いプロジェクトがありましたか?

ええ、あの時計塔の話は驚きです。故郷のシリアにある時計塔を真似て作った、3メートルか4メートルの塔です。時計は動いていません。プレートには「私たちがキャンプ・カツィカスに入ったところで時は止まっている」と書かれています。なぜなら彼らは当時(いまだにそうですが)、彼ら自身や、彼らの生活や、彼らの未来に関する決断を待ちながら幽閉状態にあったからです。時計塔の建設はHabibi.Worksの外で持ち上がりました。私たちがスペースを始めようとしていたころです。みんなは作ることに飢えているんだとわかりました。それは、自分たちのアイデンティティーを目に見える形で示す何かを作ろうとしたコミュニティが、どのように力を合わせてゆくかを見せてくれる素晴らしい例となりました。

それはとても印象的な話でしたが、他にももっとたくさんあります。私たちは1,000人以上もの人たちと関わっています。個人の能力の開花、コミュニティの成長、異なるグループ同士の関係の改善などを見てきて、驚きを覚えました。

メイキングに必要な材料を提供すること、一緒に作業すること、外部の物を改良すること、そしてそのお返しをすることとの間に関係はありますか?

Habibi.Worksでは、実用的な物を作る以外に、まさにそのために、人々の精神的健康に大きな刺激を与えていると私は思います。難民でいること、無抵抗でいること、惨めで、非力でいることの苦痛を、ここでは忘れられます。そして彼らは、特別な分野の専門家になって、自分の才能や技能を発揮し、体験を分かち合うことができます。これは精神的な健康、自信、そして心を開いて他の人たちに近づこうとする気持ちにとって、大きなインパクトとなります。

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キャンプ・カツィカスに雑貨店を作っているところ

よくわかります。Habibi.Worksが直面している問題は?

そうですね、ここでの体験は、とてもロマンチックに語れるものではありません。あらゆるレベルの、本当に難しい問題が山積みです。とくにコミュニケーションです。実務的な場面で、私たちはよく言葉の壁にぶつかります。異なる活動を主体的に行っている人たちとの間で透明性を保つのは、さらに困難です。枠組みを変えるのは大変ですが、透明であることが、よいコミュニケーションや信頼の構築には欠かせないと考えています。

そして、本当に大変なのがHabibi.Worksの財源です。このプロジェクトはほぼ100パーセント寄付でまかなっています。おもに、個人からの寄付です。そのため、大企業に対して責任を負ったり、大学などの機関の影響を受けることのない、とても柔軟で独立したモデルとなっています。しかし同時に、私たちには何の保証もなく、来月の計画を立てることも困難です。3カ月後にどれだけお金があるか、まったく予測がつきません。それが、いろいろな方面に影響しています。とくにボランティアです。財政的にサポートできなければ、経験豊かで高い技能を持つ人たちを引き留めておくことができません。

ここにいる間に、ボランティアチームの力強さに驚かされました。このプロジェクトの重要性を理解しているからこそ、あれだけ多くの優れた人たちが時間とエネルギーを提供できるのだと思います。

それよりも、どうやってボランティアの候補者を適正に審査しているのですか? ここでは仕事の能力が高いことができることが重要ですよね。なぜなら、一緒に仕事するだけでなく、一緒に生活するわけですし、これだけ特殊な状況なので技術や言語のスキルが要求されて、困難な環境でトラウマを抱えて生活している人たちと一緒にやっていくわけですから。

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Habibi.Worksのドームで行われている録音教室

おもしろい質問ですね。たしかに、この状況では、他とはまったく違うスキルが要求されます。私たちはそれを見てきました。新しいメンバーは、ここの柔軟性、つまり自由さに戸惑います。たいていの状況では、学んだり働いたり、特定の仕事があって、行動範囲もハッキリとしています。しかし、ここは非常に柔軟性が高い。自発性が大変に重要なのです。たしかに、ある特定の分野のスキルを持つことは大切ですが、最終的に必要になってくるのは「ハードスキル」ではなく、コミュニケーション、共感、いろいろな事情でここへやって来た人たちを理解し受け入れる「ソフトスキル」なのです。

あなたが言うように、ここでは一緒に働くだけでなく、生活も共にするので、ボランティアはチームになじむ必要があります。だから、履歴書を送ってもらうだけでは十分ではありません。スカイプで面接を行い、その人をよく知って、動機を理解することが大切です。さらに、仕事時間だけではなく、自由時間の間も一緒にいて、気持ちよく付き合える人かどうかを知る必要もあります。

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ここにいる間、私はHabibi.Worksのリフォームを行った(詳細はこちら

ここは、ボランティアもスペースの利用者も入れ替わりが激しいという特別な場所でもありますね。どんな感じですか?

本当に大変で疲れます。新しいメンバーが加わるたびに、彼らを指導し、チームに溶け込ませ、信頼できる関係を作るための労力が求められます。一人入るごとに、また一人抜けるごとに、チームは大きく変わります。業務上のレベルでは、たくさんのことを、何度も教えなければなりません。新しく加わった人が、ほんの短期間の滞在であったとしても、仲間意識を持ってもらえるように努力します。個人的なレベルでは、おおぜいの人にサヨナラを言った後に、新しい人をオープンに受け入れなければならないという点で、とても苦労します。

しかし、そこに自然に現れる効果として、過去に下した判断も、常に信頼してはいけないと思わせてくれることがあります。それには忍耐力と、自分に対して厳しくあることが必要です。それは、自然の品質管理でもあります。ダイナミックに変化する状況に、何度も何度も適応を繰り返すチャンスを与えてくれます。

Habibi.Worksで私が気づいたもうひとつの問題があります。あなたたちは大変に寛大ですが、私が滞在していた間に、それを悪用する人もいました。材料やスペースや道具を盗んだり壊したり。それにはどう対処していますか?

このプロジェクト全体をプロセスとして見ることが非常に大切だと思っています。その多くが、私たちが人々と築き上げる信頼関係に依存しています。それは、人々が、ここを自分の場所だと思うかどうかに関わってきます。もし、私たちから何かを奪おうとする人がいたとしても、私は個人的な感情を抱かないようにしています。私は彼らに何かをしてやっているという思いはありません。時間をかけて、私たちは人々に、互いに助け合っているのだという意識が持てるように努力しています。私たちや、他の人たちから物を盗むのは、ここでも犯罪行為です。Habibi.Worksが置かれた状況では、たとえば「貧しいのだから盗むのも仕方ない」と言うのが父親的なのでしょう。しかし私たちは、そうした行為は、このスペースや利用者を傷つけることだとハッキリ伝えています。そして、コミュニティの間柄が親密になるほど、人々のスペースへの帰属意識が高まり、奪うより与える側に回るのです。

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レーザーカッティング教室

Habibi.Worksはメイカースペースであり、利用者はMakerですよね。Habibi.Worksは、Makerムーブメントの一部だと思いますか?

それほど積極的にMakerムーブメントに加わろうと考えてはいませんでした。しかし自然にそうなっています。ここには、FabLabには分類されない作業スペースがたくさんあります。そこは、最新のデジタル技術とは無縁です。しかし、そこにMaker精神がたしかに生きていると私は思っています。人々が自分の持てる技術を使えて、新しい技術を学べて、問題の解決策を作り出すためのプラットフォームを提供する。それこそがMakerムーブメントです。

私たちは、より大きなコミュニティの手が届くそうしたソリューションを、オープンソース的な方法で作っています。人々が学んだ体験を、もっと多くの人たちと分かち合って恩恵を受けられるように、当事者意識を広めることを奨励しています。それが、私がここでもっとも重要だと感じるものです。そしてそれが、Makerの理念の本質だと思います。

難民問題が解決することを願っていますが、そうなると、このキャンプもHabibi.Worksも必要なくなりますね。それがいつなるか、わかりませんが。そこで、Habibi.Worksの未来をどう考えていますか?

ベストなシナリオは、Habibi.Worksが必要なくなることだと考えていましたが、それは現実的ではありません。EUに逃げてきた人たちの話がメディアから消えても、彼らの問題は現実に存続しています。

現状を考えると、Habibi.Worksには別の未来が見えてきます。今、ギリシャは、ドイツなどの他国へ亡命する人たちの一時滞在の場所という意味合いが薄れてきています。多くの人にとって、ギリシャは、望むと望まざるとに関わらず、最終目的地になっています。Habibi.Worksでは、難民の人々をギリシャの社会に溶け込ませる方向に焦点を当てています(溶け込むというのは、自分で自分の人生を決められる平等な機会が保証されるということです)。私たちは、ギリシャの人たちを仲間に入れる必要があります。ベストのシナリオは、このプロジェクトをギリシャの活動家と、ギリシャにやって来た難民たちに手渡すことです。結局、私たち海外の専門家には、そのプロセスを手伝うことしかできません。亡命を求めてこの地へ来た人たちと一緒にドアを叩くことはできますが、ギリシャ社会へのドアを開くのは私たちではありません。

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RHmt Allahと彼がHabibi.Worksで作ったキャビネット

最後に、あなたたちの活動を伝えるために、私に聞いて欲しいことは? また、話しておきたいことは?

いい話ができました。ここでの私たちの活動の中心的な考え方を、たくさん伝えることができたと思います。ひとつ付け加えるとしたら、Habibi.Worksは、物事は変えられることの証明だということです。その変化を起こすのは人です。問題が大きすぎて、どこから手を付けてよいかわからないことがあります。どんな活動をすればよいのか、わからないこともあります。しかし、法律だって人が作ったものだということを、私たちは忘れがちです。私たちがプレイしているゲームのルールは、人が作ったものです。すべて変えられるのです。今日や明日の話ではないでしょうが、Habibi.Worksのように、一歩一歩、現実的な例を少しずつ積み重ねてゆくことで、人は影響力を持てるようになるのです。

素晴らしい。今日は「Make:」のために時間をとってくれて、どうもありがとう。

原文