Electronics

2019.03.29

NVIDIAからMakerにうれしい99ドルのJetson Nanoとシミュレーター「Issac-Gym」が登場

Text by Sam Brown
Translated by kanai

NVIDIAは、ロボティクスとAIのための財布に優しいシングルボード・コンピューターJetson Nanoを発表した。これまで3世代にわたるJetsonのAIコアは、多くの工業用ロボットの頭脳として利用されてきたが、とても高価で、ホビイストやMakerは手が届かなかった。新登場のJetson Nanoは、これまでの高級ボードと同じソフトウェアを実行できるにも関わらず、より小型化され、消費電力も少なくなり、Makerにうれしい99ドルという価格で手に入るようになった。(Make:ではJetson Nanoを入手したので、詳しいレビュー記事をお楽しみに)


Jetson Nano開発者キットに加えて、Nvidiaは、SO-DIMMフォームファクターのJetson Nanoモジュールを129ドルで発売する

Jetson Nanoは、Nvidia GTC(GPUテクノロジーカンファレンス)の基調講演の際に発表されたが、そのすぐ後に、新しいロボティクスプログラミングライブラリー「Issac」と、ロボットの周辺環境全体を再現できるシミュレーター「Issac-Gym」も発表された。目標は、ロボット制御AIを作ることだ。シミュレーションの世界なら、ロボットの訓練がより短時間に、より安全に行える。つまり、壁に衝突しながら自分の体の動かし方を学習する場合、仮想ロボットなら、現実のものよりも高速に実行できるというわけだ。ロボットはどんどん複雑さを増しているため、ロボットの身のこなし方を、各センサーに対応した各モーターの動きを予測し明示的にプログラムするのではなく、AIに任せるというアプローチに、ますます期待が高まる。Issacは、来月、一般に向けてオープンになる予定だ。

基調講演で示された積極的な姿勢は、NVIDIAの他のハードウェアプラットフォームの場合に共通する。目指すは、NVIDIAサーバーの大規模なトレーニングクラスターの時間貸しだ。AWSのようなクラウドサービスを使って、今は数週間かかるところを数時間でAIモデルを生成し、それをそのまま100ドルに満たないJetson Nanoに転送してロボットを制御する。後に業務用のJetson Xavier AGXへロボットの頭脳をアップグレードしたときも、まったく同じプログラムが修正なしに使える。違いは、処理がより高速になるというだけだ。

Jetson Nanoの仕様とソフトウェア
・GPU:128コア実装NVIDIA Maxwellアーキテクチャーベース
・CPU:クアッドコアARM A57Cortex-A57 MPCoreプロセッサー
・映像:エンコード4K@30fps(H.264/H.265)/デコード4K@60fps(H.264/H.265)
・カメラ:MIPI CSI-2 DPHY 12レーン(モジュール)/ MIPI CSI-2 DPHY 1レーン(開発者キット)
・メモリー:4 GB 64 ビット LPDDR4(毎秒25.6GB)
・接続:ギガビットイーサネット
・対応OS:Linux for Tegra
・モジュールサイズ:70mm x 45mm
・開発者キットサイズ:100mm x 80mm

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