
2026.09.28
自動貴名受け、ダイヤル錠を開ける装置など。人間もすること・できることをあえて機械にさせてみた — Maker Faire Tokyo 会場レポート #3
エレクトロニクスの力で機構を動かすのは楽しい。どんな装置を作るかがアイデアの見せどころだ。ここでは人間もやっていること、できることを機械に置き換えてみた展示を紹介する。
名刺やメイカーチップを交換する大がかりな装置
名刺交換はそれこそ人間が普段行うことで、わざわざ機械に置き換える必要はない。しかしtofunologyの考えは違った。出展したのは名刺交換マシン「自動貴名受け」である。

「自動貴名受け」の全体。左端の操作ユニットでなにを行うか指定する
この装置は5つのユニットに分かれている。左から操作パネル、名刺の受け取り、メイカーチップの受け取り、メイカーチップの差し出し、名刺の差し出しである。
メイカーチップとは、ポーカーチップのサイズに思い思いのデザインを施したもので、3Dプリンタでいくつも出力してイベントに持参する。メイカーどうしの挨拶代わりにメイカーチップを交換するのが最近の流行だ。

tofunologyが配布していたメイカーチップ(写真提供:tofunology)
スマートフォンを埋め込んだ操作パネルで、こちらからなにを出すか(またはなにも出さないか)、なにを受け取るか(またはなにも受け取らないか)を指定する。その操作に応じて、名刺やメイカーチップを受け取る機構や差し出す機構が動作するしくみだ。
②自動貴名受け
名刺とメイカーチップの交換・配布・受取を自動で行います。#MFTokyo #MFTokyo2026 pic.twitter.com/q9tK16LKlb
— tofunology (@tofunology) September 5, 2026
「自動貴名受け」が動作する様子(tofunologyのXより)
もちろん、機械にここまでしてもらわなくても名刺やメイカーチップは交換できる。むしろそれらは機械を介さず人間どうしで交換するべきだともいえる。にもかかわらずあえて専用の大がかりな装置を作ってしまうところに大いなるユーモアが感じられる展示だった。
ダイヤル錠の正しい番号をゆっくり知りたい人へ
ダイヤル式の錠前の番号がわからなくなったことがないだろうか。かがりん氏が展示していたのは、ダイヤル錠の正しい番号を突き止める「番号忘れのダイヤル錠を開ける装置」である。といっても、メカならではの画期的な機構があるわけではない。人間が正しい番号を探すときと同じように、ダイヤルを1つ回しては錠を開けようとしてみる動きが装置に組み込まれている。

機構の全景。パーツは3Dプリンタで出力して組み立てた
会場で動かしてたときの動画。(会場の音アリ) pic.twitter.com/G7G2qzGX6c
— かがさん🍆 (@kaga3twi) September 7, 2026
装置の動く様子。ダイヤルを1つ回し、開くかの確認を律儀に続ける(かがりん氏のXより)
「機械が動く様子を楽しんでもらいたくて作りました」とかがりん氏は語る。この装置は、ダイヤルを1つ回しては錠が開くかどうか確認する動きを淡々と続けている。その様子はけなげにも見えて心がなごむ。そもそもダイヤル錠の番号を調べたいだけならば、人間がダイヤルを回していく方がずっと早い。実用的ではないが見入ってしまうよさがあった。

無事に錠が開くと「OPEN!」の旗が立つ
なぜわざわざ? 七味唐辛子を一味にしてしまう装置
七味唐辛子には唐辛子を含め、全7種類の薬味や香辛料が入っている。これらの組み合わせで奥深い味わいが出ているのだが、美食俱樂部はなぜか七味唐辛子から唐辛子だけを取り出して、一味唐辛子にしてしまう「全自動“本村七味”選別機」を作ってしまった。

「全自動“本村七味”選別機」のメカ部分
この装置は1つのロボットアームがさまざまに動く。まず七味唐辛子の瓶をつかんでケースに出す。次にケースを持ち、フィーダーへと七味唐辛子を移す。七味がフィーダー内でうまく流れるよう、ロボットアームは筆を取って適宜フィーダーの端に七味を寄せる。そしてアームがフィーダーを細かくたたくと、七味がベルトコンベアーに少しずつ落ちていく。
コンベアーで運ばれていく七味は、画像認識によって分類される。コンベアーの終端には、仕切りつきのボックスが待ち構えている。ボックスは左右に素早く動いて、落ちてくるものが唐辛子なら向かって左、薬味や香辛料なら中央、残りを右に仕分けていく。
七味を一味にする一連の動き
フィーダーに七味を追加するかや筆を使うかの判断、コンベアーを流れる七味の選別などは機械学習で調整されている。すべての動作は装置が自律的に判断して行うため、人間は七味が一味になる様子をただ見ているだけでよい。
ここまで来ると人間にもできるかもしれないが、実際に選別するとなると果てしない作業になる。選別機があってよかったと思う瞬間である。
この装置のアイデアは有名なグルメマンガから来ている。出展者名の「美食俱樂部」で察しがつく人も多そうだ。Maker Faire Tokyo 2019に「KK工房」として出展した「全自動“本村米”選別機」は、マンガに登場する「本村」氏の常識外れの忍耐を装置で再現するものだった。そして今回は本村氏が七味唐辛子を分別するストーリーを仕立てた。マンガ内の美食家を模したAIが、抽出された一味を評価するシステムも備えている。背後のストーリーを知ると、一味唐辛子を買えばよいわけでもないとわかるのだった。






