Electronics

2013.03.08

世界初の3Dペン「3Doodler」共同開発者、Max Bogueインタビュー

Text by kanai

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先週、WobbleWorks LLC は、「世界初の3Dペン」3DoodlerのためのKickstarterキャンペーンを立ち上げた。目標金額はわずか数時間でクリアし、2日にして100万ドルを記録した。

先日、私は共同開発者のMax Bogueに会って、製造について、またキャンペーンの成功について詳しい話を聞くことができた。

やあ、Max、あなた自身とあなたの会社について教えてもらえますか。

どうも、Eric。私はPeter DilworthといっしょにWobbleWorks LLCを立ち上げた共同創設者です。数年前、私はWowWeeのR&D チームで働いていました。そこで関わったもっとも大きなプロジェクトに、無線テレプレゼンスロボットのRovioがありました。そのプロジェクトを製品化するまでの管理が私のおもな仕事で、よく中国の工場へ行き、1カ月ほどそこで過ごすということをしていました。

Peterとは、WowWee時代に、彼の歩く恐竜ロボット、Troodyを製品化する仕事で知り合いました。Rovioが発売になると、私はその会社を辞めて、MITが起業したHandy Roboticsで働くためにボストンへ移りました。その間、Peterと私は日常的に会いながら、互いにアイデアを出し合っていました。そうして、2人で会社を立ち上げることになったのです。

3Doodlerチームと、どのようにしてそれが生まれたのかを教えてください。

今のところは、私とPeterと中国の数人、それに、製品化を担当するDanです。さらに、Kickstarterキャンペーンを始める前に数人の外部スタッフと契約して、数カ月をかけて準備してきました。私たちは数カ月前に香港へ飛び、いくつかの工場を見学してきました。大勢の人たちと話をして、私たちにとって本当にパーフェクトな一社をパートナーにすることを決めました。

その工場には、何か特別なところがあるのですか?

彼らは小口の注文を喜んで受けてくれます。また必要に応じてスケールアップも可能なんです。たとえば、大きな会社なら標準的な量の10万個でスタートできるなら、工場探しも簡単でした。しかし1万個単位となると、なかなか厳しいものがありました。たいていは門前払いです。あの工場を見つけることができて、本当にラッキーでしたよ。とてもいい人の集まりでしたし。

海外で製造する際に難しい点はありますか?

まあ、まずは大量の注文を受けるということです。その後、非常に大切なのが、もしその土地に不案内ならば、製造プロセスに経験豊富で地元にも詳しい人を探すことです。また、中国で、あるいはどこであろうと製造を行う国で、チームを組むことも大切です。その国に信頼できる人間がいることが、なにより重要です。製造を依頼する工場の関係者である必要はありません。その土地の文化によく溶け込んだ人です。幸い私たちは、2010年に会社を立ち上げてから、オモチャのコンセプトを売りながら、もっと難しい製品の製造に関するコンサルティングを現場で行ってきたので、まったく無知というわけではありませんでした。言葉もわかるといいですね。私は高校で中国語を習いました。大学でも勉強を続けて、香港に4年間住みました。製造を開始してから数カ月間は、長い時間を工場で過ごすことになると思いますが、それは、製品を人々の手に行き渡らせるための代償だと考えています。そうできることを最高にうれしく思ってますよ。

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製造段階で実際に工場に詰めていることの意味は?

それは単純なことです。ターンアラウンドの短縮です。先方にスタッフがいるので、私が24時間詰めていなければならない理由はありませんが、私は技術者やQC(品質管理)の人たちといっしょに作業をして、すべてを順調に運び、工場との関係をよく保ちたいんです。もし彼らが変更を望んだり、提案をしたいときに、私がそこにいれば、私に話ができます。半日ほど話し合って、「うん、いいね。それで進めよう」と決断できるのです。

このアイデアはどこから? テレプレゼンスロボットと3Dプリントペンとは開きがあるようだけど。

私たちは、以前から3Dプリンター「Up!」を2台持っていました。Peter Dilworthがプリントする様子を見ていたとき、エラーが置きました。彼はちょっとキレて、プラットフォームからプリントを取り出して、ギャップを埋めて、また元に戻したいと思ったんです。そのとき、「そうだ、できるよ!」と気づく瞬間が訪れました。

そこで私たちは、1台のUp!を分解して、プリンタヘッドを取り出して、簡単な3Doodlerを作りました。小さなハンドルを取り付けて、ほんとに即席で最初のプロトタイプを作ったのです。それは「the Teacup」と名付けられました。ひどい作りだったけど、使えました。私たちは「そこに何かがあるかも」と考えました。そこから、Arduinoを使った新バージョンを作り、すべてを収めるケースや、プラスティックを冷却するためのファンなどを追加しました。最初のプロトタイプ「the Beast」は、ひとつのパッケージにすべての部品を収めたものとなりました。中身はすべて金属、ケースはABSです。それは、とてもよく機能しました。

結局、私たちは、Kickstarterのビデオで紹介したものに至るまでに、5つのプロトタイプを作りました。みなさんは、ちょっと改良を加えた6番目のバージョンを手にすることになります。ケースを、もっと手に馴染む形に変更して、転がらないように底を平らにします。Kickstarterの反響は素晴らしかった。コミュニティの支援はありがたいです。よりよい製品作りを助けてくれますからね。

3Doodlerの物理的なインターフェイスについて教えてください。どうやって使うのですか?

前方に2つのボタンがあります。ひとつを押すとプラスティックがゆっくりと押し出されます。これは細かい作業用です。もうひとつのボタンを押すと押し出す速度が速くなるので、塗り潰したいときなどに使います。ボタンを放すと、3Dプリンターと同じように、モーターが動いて少しだけプラスティックを引っ込めます。これによりプラスティックが垂れるのを防ぎます。ボタンを両方同時に押すと、プラスティックは反対方向に押し出されるので、色の交換などが簡単にできます。

後方には、PLA、ABS、OFFの三段階の切り替えスイッチがあります。ノズルを予熱している間は、LEDが赤く光ります。これが青に切り替わったら準備完了です。描いている間にノズルが冷えてしまったら、青から赤に変わり、ノズルが詰まらないようにプラスティックの押し出しが自動的に止まります。また温度が戻れば、ボタンが再び使えるようになります。私たちは、シンプルさと使いやすいさを求めてきました。これでは、その両方のバランスが取れていると思います。

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冷却に関連する特許についてKickstarterのサイトで読みましたが、その背景を聞かせてもらえますか?

純粋に、大企業から身を守るために特許を申請したんです。コミュニティには迷惑はかけません。作りたいと思ったら、どうぞ自由に作ってください。大企業が大量生産するのとは、わけが違いますからね。市場やら何やらから多くの支持を得られるかを議論するつもりはありません。ただそれが潰されないように守ろうとしているだけです。これは、既存の特許に基づいているので、正当性があります。

Kickstarterキャンペーンであっと言う間に目標達成したことに、驚きましたか?

素晴らしい製品であることはわかってましたが、あの早さにはびっくりしました。2日で100万ドルなんて、想像もしてませんでした。私たちは工場へ行き、事前に報道機関に話をして、準備をしてきました。目標の3万ドルでは、やっと製造できる程度で、もしそれだけしかもらえていなかったら足が出るところでした。でも、本当にいい製品なんですよ。とにかくみんなに使ってもらいたい。できる限りの準備をしてきましたが、それなりにしかできません。とにかく、私たちは恐縮しています。

出荷の締め切りには間に合いそうですか?

それには自信があります。そのためにこの時期を選び、調整してきたのです。増産して、それを維持できるようにね。年末商戦はとても大切です。そのときに欲しいという人たちを失望させたくありません。出荷日より前に準備が整うよう、私たちはがんばっています。

製造がどれほど複雑なものかを知っている人は、そう多くありません。時間がかかるのです。ぱっと中国へ行って、荒削りなデザインを渡して、すぐに製品ができるというわけにはいきません。私たちは、これまでにこのプロジェクトに1年かけています。工場との付き合いは3カ月になります。

未来のKickstarter利用者へのアドバイスは?

準備、準備、準備。ビッグになりそうなものを持っていると思ったら、キャンペーンを立ち上げる前にメディアに話をすることを勧めます。小さなプロジェクトなら、とりあえずやってみるという方法でもいいでしょうが、大規模なプロジェクトになると、宣伝が大切になります。流通も大切です。クレイジーな仕事をやっつけるアイデアや基本計画が必要です。

Kickstarterの経験者の話を聞くのもいいでしょう。私はJoe Schlesinger(Arcbotics)から、Kickstarterの落とし穴についてたくさん話を聞きました。電子メールが山ほど来ます。それに返事を書くためだけに、私のガールフレンドは仕事を休んで数週間手伝ってくれました。Danは、キャンペーン全体の戦略ややり方など、ほんとうにたくさんのことを教えてくれました。とにかく、完璧に準備しておくことが重要です。適切な人材を集めておくことです。

ありがとうMax。何か付け加えることは?

Artisan’s Asylumには本当に感謝したいです。素晴らしいハッカースペースで、素晴らしいツールや頭のいい人たちが揃ってる。私たちはそこで、プロトタイプ作りとR&Rを行いました。彼らがいなければ、私たちはここまで来られませんでした。

Kickstarterのバッカーとファンのみなさんにもお礼が言いたいです。製品が店に並ぶ前にコミュニティができたという事実は、驚くべきことです。すでに、オーナメントやメガネなど、自作のステンシルが寄せられています。すべて、ウェブサイトで公開して、みなさんと共有したいと思います。

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最初にこの記事をポストした後、MAKEの外部筆者、Chris Connorsは、共同開発者のPeter DilworthとのArtisan’s Asylumでの会話について私に教えてくれた。

原文