Electronics

2014.09.05

弱視の祖父のためのDIYオーディオブックリーダー

Text by kanai

Willem’s Audio Book Reader features a Raspberry Pi and RFID card to read audio books

WillemのAudio Book Readerは、Raspberry PiとRFIDカードを使ってオーディオブックを再生する仕組みだ。

誰にでも、身体機能が老化した高齢の家族や友人がいる。そうした衰えは、医学的な奇跡でも起きないかぎり、我々にはどうすることもできない。私たちの中にも年を取れば、眼が見えなくなる人もいるだろう。そうなったら人生は終わりだと思えてしまう。普段私たちは、眼が見えることを当たり前に感じ、それに頼りきって毎日を過ごしている。そんな視力を失ったら、絶望するしかない。本を読むといった簡単なことすらできなくなるのだ。オーディオブックリーダー(Kindle、Nook、Kobo)があっても、タッチスクリーンでの操作が必要なため、眼が見えければ使えない。

Willem van der Jagtの93歳になるお祖父さんも、視力が低下した一人だ。何ができるかと考えた結果、Willemはお祖父さんにオーディオブックを薦めた。だが、前述のとおり操作ができないことに気がついたWillemは、目で見ることなく使える特別なオーディオブックリーダーを作ろうと決意した。彼は、Raspberry PiをeBookとして使い、そのRAMに本のデータを入れておくというデザインをした。本のデータは、そのDVDのケースに対応している。ケースにはRFIDカードが仕込まれている。それはeBook本体のRFIDスキャナーでスキャンされる。つまり、本体の上にDVDのケースを置くだけで音声が再生されるのだ。操作は正面にある大きな4つのボタンで行う。ボタンは、一時停止、巻き戻し、あとの2つはボリュームの大小だ。Willemがこのオーディオブックリーダーを開発してから1年になるが、お祖父さんは毎日これを使っている。彼はその後、音楽も聞けるようにしてほしいとリクエストしてきた。これは奇跡ではないかもしれないが、Willemのデバイスは、眼が見えなくなったお祖父さんに、見えなくても不自由がない世界のドアを開いてあげたと言えるだろう。

Willemのプロジェクトの詳細はこちら。https://gist.github.com/wkjagt/814b3f62ea03c7b1a765

Willem’s Audio Book Reader with finished enclosure complete with power button and headphone jack
化粧仕上げを施された Willemのオーディオブックリーダー。電源ボタンとヘッドホンジャックもある。

訳者から:お祖父さんは少しだけ眼が見えるので、本のデータが収録されている元のDVDのケースの大きな文字は見えるらしい。それを探してリーダーの上に置けば、RFIDカードで識別されて、本体にコピーされている音声データが再生される。

– Cabe Atwell

原文