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2016.07.13

あなたの製品は中国での生産に向いているか?

Text by Alexander Lee & Jonathan Ward
Translated by kanai

素晴らしい製品の設計ができたら、次の段階は大量生産だ。こうなると多くの人は、中国にパートナーを見つけて生産を委託するものと考えるだろう。製造拠点として中国を選ぶのには、いろいろな理由がある。中国は大量生産にかけては宇宙の中心だ。価格も量が増えるほど安くなるし、すぐにでも生産を開始してくれる工場があるように思える。電子製品でも、プラスティックでも、金属の機械加工でも。これほどのレベルで製造ができる国は、中国以外ににはないだろう。

しかし、それほどインフラが整い価格も安い中国なのに、中国以外で生産している人がいるのはなぜだろう。たしかに、中国での生産に向いている製品もあるが、そうでないものもあるのだ。私たちは、無線オシロスコーププローブ「Aeroscope」の開発中に、その決断を迫られた。AeroscopeはCrowd Supplyでクラウドファンドキャンペーンを開始したばかりだったのだが、ローンチ前に、この問題を解決しておかなければならなかった。ここに、私たちが学んだ教訓を紹介する。お役に立てたら幸いだ。

中国での生産は、簡単な製品を大量に作る場合に適している。製品の数が少なくなるほど、中国での生産の意味は薄くなる。とくに、複雑なテストや組み立てが難しいものなどは適さない。小数しか生産しない場合は、請け負ってくれる工場を探すのに苦労する。請け負ってくれそうなところがあっても、こちらの基準に合わないことも多い。少量の生産でも請け負ってくれる工場はあるが、その場合は大量生産の合間を狙っての生産となる。だから納期がはっきりせず、発生するであろうトラブルの対処も難しくなる。

中国に住んでいないかぎり、部品の調達は地元にいるときよりも時間がかかる。中国が価格で競うのなら、地元の企業はスピードで勝負することになる。たとえば、アメリカの工場ならアルミで型を作って6日でプラスティック部品を生産できるが、中国では鉄製の型を使って6週間かかる。

意外なことだが、中国では入手困難な電子部品もある。その場合は設計を変更するか、海外から部品を調達するしかない。それには、関税を通る時間がかかるし費用もかかる。それに加えて、高価な国際運送料に、言葉の壁に、時間帯の違いに、長い運送時間がかかり、中国で生産する意味が失われていく。

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少量の生産でも中国で行うことが有利になる方法に、製品の部品を中国で作らせるというものがある。そして、組み立ての大半は地元で行うのだ。プリント基板や、基板アセンブリー、独自の機械加工パーツ、プラスティックの型などの単純な部品は、少ないリスクで、現地で立ち会う必要もなく外注できる。そして、その部品を地元の工場で組み立てる。この方法なら、最終的な組み立てを、より安いコストで、より厳しく管理できる。私たちAeroscope Labsはこの方法をとった。

製品のすべてを中国で生産することを決断したとしよう。そのとき、きちんと製品が作られるかどうか、どうやって確かめたらよいだろう? まずは、評判のいい工場を見つけることだ。どうやって? まず頭に浮かぶのは、Makerの味方であるAlibabaだ。この手は使える。しかし、最初に見つけた工場で決めてしまわないこと。いくつかの工場から見積もりを出させ、サンプルを作らせることが大切だ。ここには時間をかけること。中国に住んでいないのなら、妥当な契約をするまでに、数週間から数カ月は覚悟しておくべきだ。

理想的な工場が見つかったら、次はどうする? 工場を自分の目で見学するのが望ましいが、中国に住んでいないなら、多額の費用がかかる。大きな予算をつぎ込む場合は、必ず工場は訪れることを私たちは強くお勧めする。Aeroscope Labsの場合、1万5000〜2万ドルかかった。これにはいくつかの目的がある。第一に、サンプルを作らせる場合であっても、見ていないところでどの程度の品質管理がなされているか、まったくわからない。サンプルとまったく同じ品質で生産されるように、厳しい品質管理を現地で行う必要がある。次に、あなたが厳しい顧客であることを相手にわからせることだ。そして、現地のスタッフと個人的な関係を作ること。顔と名前を覚えておくことが、今後起こるであろういろいろな問題の解決に役立つ。

工場を選ぶ過程をショートカットする方法もある。長い期間、中国へ行く必要のない方法だ。それは、あなたのかわりに工場を選んでくれるサービスを利用すること。そうした企業には、サービスのレベルに応じていくつかの種類がある。ローエンドでは、部品を見つけてくれるだけというサービスもある。彼らに設計図を見せて、彼らの知っている工場に見積もりを出させる。Dragon Innovationsのような最上級のサービスになると、工場探しから、生産の間、エンジニアを工場に常駐させることまで行ってくれる。複雑な製品を大量に生産する場合、それなりのコストをかける覚悟があるなら、こうしたサービスを利用する価値がある。

大量生産を行う場合は、国内で行おうと海外で行おうと、部品の詳細な指示書は欠かせない。はっきり伝えずにおいた部分は、工場の勝手な解釈で作られてしまい、がっかりすることになる。いい工場は細かい部分を聞いてくるが、そうでない大多数の工場は、言われていない部分で手を抜かれる。これを防ぐには、パーツの公差、仕上げ、基板のスタックアップ、組み立て方、テストの手順などをはっきり伝えておくことだ。

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アメリカでの3DプリントやCNC加工サービスに慣れている人は、機械図面を要求されたときにビックリするだろう。

アメリカ国内では、STLファイルやSTEPファイルさえあれば、メカニカルなプロトタイプが作れるが、中国の工場は、その多くが見積もりを出すときに機械図面を見せて欲しいと言う。スマートフォンやコンピューターが世界中いたるところにあるこの時代でも、すべてがコンピューター式の機械で作られているわけではないのだ。プローブチップを作るために私たちが契約したコネクターのメーカーは、3D CADファイルを開く設備すら持っていなかった。スクリューマシンと呼ばれる自動化されたアナログ機械を使っていた。3Dファイルは部品の形や組み立て方を説明する際に大変に便利だが、部品の公差を伝えるには、機械図面が今でも普通に使われているのだ。部品の公差は計算してあるよね?

中国での生産にはたくさんの利点があるが、すべての人がその恩恵を受けられるとは限らない。利益と落とし穴について、よく考えておくことだ。自分の製品の場合はどうか、頭を働かせて決断しないといけない。ひとつのプロトタイプから大量生産までの道のりは長く、根気のいる作業だ。しかし、このグローバリゼーションの時代にあっても、またインターネットに簡単にアクセスできる時代にあっても、製品を市場に送り出すのは並大抵の苦労ではない。

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