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2017.02.24

Kickstarterを開始する(3):見積もり、お金、締め切り

Text by Natasha Dzurny
Translated by kanai

英語版編集者から:どのようにKickstarterが進められるのかを細かく紹介することに意味があると思い、Natashaの同意のもとに、彼女のキャンペーンを6つのパートに分けて紹介することにしました。


私はNatasha。www.TechnoChic.netのTechnoChic DIYテック・クラフト・キットの開発者だ。あと4週間で(3月7日だ!)、私は新しい光る蝶ネクタイのキットのKickstarterキャンペーンをローンチする。キャンペーンの宣伝も全力で進めている。先週は、見積もりと、必要な予算と、全体のスケジュールを考える1週間だった。そして私は、Kickstarterの出荷コストの計算方法と、Kickstarterのバッカーへのインターネットでの影響力から顧客転換率(コンバージョンレート)を計算する方法を考え出した。これでローンチまでの準備を開始して3週間目だ。先週の記事を読みたい方は、こちらを見ていただきたい。

大きな疑問:どれだけ予算が必要か?

Kickstarterは、オール・オア・ナッシングの資金作りプラットフォームだ。プロジェクトがゴールを達成できなければ何ももらえない。だから、全体のコストを見積もって、多くのバッカーを惹きつける魅力的なキャンペーンを実行しなければならない。Kickstarterのウェブサイトには、「tips on setting a goal(ゴール設定のコツ)」が書かれていて、次のように推奨している。

「ゴールの金額は、約束したことを実行し、すべての報酬を渡すことができる必要最低限にすること」

だが、その金額をどう割り出すか? 今週は、キャンペーンで予算的に成功するために、今後何をすべきかを細かく考えてみた。私が行ったのは以下のとおりだ。

最初にスプレッドシートを作成

私のキャンペーンでの出費は、3つのカテゴリーに分類できる。

・製品コスト(金型、印刷、紙、キット製作、アクセサリー、パッケージ)
・出荷コスト(送料と梱包)
・キャンペーンコスト(製品には直接影響しないがキャンペーンを実行する上で必要な事柄)

ここをクリックするとスプレッドシートが拡大される。

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製品コスト

製品を作るためのコストでは、2つの数字に注目した。

1. 製品の価格は最低どこまで下げられるか?
2. 思い通りにいかなかったときにコストはどれくらいになるか?(最悪ケースのシナリオ)

私の製品の耐久性の範囲を探ることから始めた。それには、製品に含まれるすべての部品をリストアップ(BOM:部品リスト)し、スプレッドシートの左側に最高品質の業者と、もっとも安い業者(怪しいものも含む)のコストを書き入れ、その右側に、安全なオプション(これまでに取り引きしたことのある業者か、アメリカ国内で送料や支払いに心配のない業者)を書き入れた。これにより、最終的な製品で、品質の良いもの、悪いもの両方の現実的なコストがつかめる。

見積もり

電子部品に関しては、私はアリババと中国で直接製造している業者を調べ、アメリカの販売店も調べた。一般的な法則として、発注数が多いほど価格は安くなる。中国の工場から直接届けられる製品は、アメリカの販売店よりも安い。しかし、海外の業者と取り引きするときは、送金や出荷や輸送時間などの問題が生じる可能性がある。初めてアリババで検索したときは、正直言ってびびった。巨大な市場であり、ほとんどの会話は他国語からの翻訳だ。そのとき非常に役に立ったのが、アリババを利用するためのコツを集めたこのサイトだった。その後は、かなり楽にコミュニケーションができて、いくつかの見積もりを取ることができた。

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紙の形状に関しては、前回のKickstarter(TechnoChic light-up paper flower kits)で世話になった印刷所に出向き、切り抜きと箔押しの見積もりを依頼した。Illustratorのファイルと、紙と箔押しの色見本も持参した。いいニュースは、この時点ではまだデザインが確定していないことだ。ファイルを見せるのは見積もりの参考にしてもらうだけのもので、まだデザインの変更や調整は可能だ。

私は、どの業者に対しても、見積もり依頼(RFQ)をするときに、2種類の数量で出してもらうことにしている。Kickstarterは予測が難しい。作るべき数が1000になるのか1万になるのかわからない。数量によってコストも大幅に違ってくる。だから、どちらでも対応できるようにそのコストを知っておけば助かるのだ。

すべての詳細を決める – タイミングも

これらのパズルのピースのなかで、タイミングがもっとも重要だ。だから、アイテムが用意できるのかと共に、いつできるのか、どれくらい時間がかかるのかを聞いておく必要がある。材料を供給してくれるすべての業者には、こちらの締め切りを伝えておくことが大切だ。キャンペーン開始前に、バッカーへの報酬の出荷時期を明示しなければならない。しかも遅れは許されない。なのでこの出荷時期には、1カ月か2カ月の余裕を持たせおくとよい。約束の期日以内に、期待以上のものを届ける。これがカスタマーサービスの成功の秘訣だ。

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送料 – 深刻な問題

送料は「Kickstarterの予算殺し」とも呼ばれている。それにはワケがある。計算が難しく、軽く見てしまいがちだからだ。問題は、送料には利益を載せられないことだ。届いたときに、ただ出て行くだけの金だ。

キャンペーンで寄付してもらったとき、トータルの金額に、送料が上乗せされ、ゴール達成に貢献してくれる(これはうれしい話だ。それだけ早くゴールに到達できる)。しかし、そのために全額を持って帰れるわけではない。持ち帰れる金額は、思ったよりもずっと少ないのだ。

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たとえば……

100ドル相当の報酬を用意したとしよう。それを出荷するのに50ドルかかる。プロジェクトを製品化するために必要な総額は1000ドルだとする。だから「10人が100ドルずつ寄付してくれた1000ドルに達する」と考えるだろう。しかし7人しか寄付してくれなかったとしたら、7×150=1050ドルだから、送料が350ドルかかるので、残りは700ドルしかないことになる(がっかりだ!)。

この場合、1000ドル必要ならばゴールは1500ドルにしなければならない。

今週、Kickstarter の出荷コストの計算にあたってしたこと

・秤で製品と梱包の重量を測った(まだプロトタイプが完成していない場合は、似たような品物を集めて使う)。
・海外発送と国内発送との割合を見積もった(以前のバッカーやSNSのアカウントから推定)。
・出荷ソフトウェアを使って海外と国内の送料を調べ、海外発送と国内発送の比率から平均値を求めた。
・もっとも人気の高い報酬から、報酬の総コストに占める平均送料の割合を求めた。
・それをKickstarterのゴールに合計した。

解説:私の場合、もっとも人気の報酬1つの価格は25ドルだった。製品の平均送料は5ドル。だから、5/25=20%。製品を作って報酬を発送するためには、もともとのゴールに20パーセントを上乗せする必要があった。みなさんも、この公式を利用してほしい。

平均送料の見積額/もっとも人気の報酬の価格=送料の割合(%)
もともとのゴール+(もともとのゴール×送料のパーセンテージ)=最終的なKickstarterのゴール

これでも足りなければ、もっと複雑な計算方法もある。しかし、ポイントは送料の見積もり、端数の切り上げ、常に予想外の出費があるとを覚悟することだ。また私は、梱包用の箱や緩衝材などもコストに含めている。

キャンペーンのコスト/すべてを考える

この記事を読めば、私が獲得しようとしているお金の一部をすでに使ってしまっていることがわかるだろう。私は、プロトタイピングとキャンペーンのために使った費用を取り戻したいと思っている。そしてこれから先のコストは、キャンペーンの成功のために使うことになる。そのために購入が必要となるものをすべて書き出した。また、キャンペーンのために増加するであろう個人的な出費についても考えた。Kickstarterキャンペーンを行う人は、託児所や、普段なら歩くところをタクシーで行ったり、コーヒーをいつもより多く飲んだり、頭痛薬を飲んだりするだろう。小さな積み重ねは大きい。

以下は、私が買うことになったものだ。だが過去のキャンペーンでは経費にしていない。

・折りたたみテーブルと椅子
・出荷を手伝ってくれた友だちの食事と飲み物
・テープカッター
・整理用のプラスチックケースや紙のトレイ
・名刺、ステッカー、ロゴのハンコ
・信じられないほど大量のパッキング用テープ
・試験的に買った郵送用の素材(まとめ買いする前に定価にて)
・送料ソフト
・DYMOプリンター
・郵送用ラベルとラベル用の箱
・レンタルオフィス/在庫の保管場所
・お礼のカード/ギフト
・運送/レンタカー
・折りたたみ式の台車
・大きなスーツケース
・ノート、プリント用紙
・大きなジップロックの袋
・収納用の棚

リーチを計算する

すべてを計算したゴールを設定したときに、私は考える。ゴールが高すぎないか? 私は、ソーシャルメディア、メーリングリスト、友人関係、家族、社会に限られた影響力しか持たない1人の人間だ。これでは目標に届かない。

前回のKickstarterキャンペーンでは、数字を調べてゴールを設定した。1万ドルだ。私はできるだけ多くの人に声が届ける作戦を見直し、動画を見た人数とコメントの数、ウェブサイトの訪問者と売り上げの数、ニュースレターを開いた数とクリックした数などから、顧客転換率(コンバージョンレート)を計算する方法を考えた(これが計算可能な情報だ。つまり、ブランドと顧客をよく知っていれば、顧客転換率を高い確率で計算できる)。どれくらいの割合で「いいね」やコメントやシェアがもらえるだろうか? 彼らは他のグループの人たちに、それを伝えてくれるだろうか?

私は、5000ドルの寄付しか得られないと計算した。そこで、箔押しを止めて製造コストを半分にすることを決意した。ゴールは5000ドルにしておき、ストレッチゴール(寄付が目標額を大きく上回ったときの、さらに上のゴール)として10000ドルを設定し、そこに到達した際に、箔押し付きの蝶ネクタイを提供するようにした。その判断は正しかったと思う。私には10000ドルを集められるだけの影響力はない。10000ドルにしていたら、キャンペーンは失敗していただろう。

しかし、後になって考えると、このやり方はお勧めできない。私は元の考えの基準にこだわるあまりに、結局、Kivaローンでお金を借りて補充したのだ。最初から10000ドルに設定していたら、どうだったろうかと考える。成功していただろうか? バッカーたちは、ストレッチゴールに到達できなさそうだと感じて寄付を止めてしまったかもしれない。箔押しのない製品ならいらないと思ったかもしれない。

まとめ

前回のキャンペーンは、私に宿題を残した。イベントに参加する。メーリングリストを増やす。もっと多くのMakerやお客さんに会う。これから私の最大のKickstarterキャンペーンが控えている。もうやるしかない。私が算出したリーチは安心できるほどの数ではないが、それに近いものだ。それだけの価値があるかは時間だけが知っている(祈ってください!)。

将来の計画

残念なことに、先週、私の頭の中を巡っていたもう1つの考えについては書けなかった。それは、Kickstarterの後のことだ。キャンペーンだけの話ではない。たとえば、大量生産によって材料費が下がるので、小売用のパッケージをもっと生産して、Maker Faireや店で売ることも考えている。

このことには、言っておく価値がある。ほとんどのKickstarter(特に製品の場合)は、その先も自律して製品を生産していくことが期待されているからだ。だから、今、将来のビジネスプランを立て、予算を考えておくことに意味がある。

個人的な話

この記事は、Kickstarterのリアリティー番組みたいなものなので、キャンペーンの感想や、どのように進行するかもお伝えしたいと考えた。

今週は働き過ぎた。夕飯時を過ぎてもスタジオにいたことが2回あった。日曜日にも働いた。前の週から続いている仕事(ソーシャルメディア、プロトタイプ、部品調達)は続いているし、新しい仕事の上に重なっている。すべてをやり終えるには時間が足りなかったのだ。睡眠時間は標準的。テイクアウトは1回だけ。来週をお楽しみに!

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