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2021.04.12

新たな調理法(ゲル化、泡化、炭酸化、架橋化など)と空想力で未来の食事を作る『分子調理の日本食』は4月26日発売!

Text by editor

新たな調理方法と料理を分子レベルから開発する「分子調理法」を、身近な日本食に応用した世界で初めての書籍です。「ゲル化」「熱ゲル化」「泡化、炭酸化」「架橋化」「乳化」「実験器具利用化」といった技術を使って作り出したレシピと、その背景にある「分子調理学」の解説が掲載されています。紹介する料理は、きれいなスノードームに入ったふろふき大根、温めると固まって冷やすと溶けるけんちん汁、アサリと三つ葉が美しいお吸い物球体、甘辛いイナゴのハンバーグ、かつお節でできた酒器、液体窒素で冷やした冷やし中華、“脳天に突き刺さる”ほどのうま味が濃縮した煮汁ソースなど。読むと未来の料理を空想してしまいたくなるような一冊です。英文併記。


●書籍概要

分子調理の日本食
石川 伸一、石川 繭子、桑原 明 著
2021年04月26日 発売予定
B5変形判/156ページ
ISBN978-4-87311-948-9
定価2,640円

◎全国の有名書店、Amazon.co.jpにて予約受付中です。
◎目次など詳しい情報は、「O’Reilly Japan – 分子調理の日本食」を参照してください。


●おわりに

この本を作るにあたり、著者らは約一年間、ディスカッションや試作に明け暮れてきました。「分子調理法」×「日本食(≒馴染み深い料理)」というテーマで料理を考えながら、料理の形になっていないものも数多く作りました。その過程を終えて心に強く残っているのは、共にじっくりものを創り上げていく中で、思いもよらない結果がたくさん生まれたということです。それは同時に、興奮と面白さを感じる時間でもありました。同じ食材、同じメニューであっても、人によってその捉え方は違います。異なる視点が増えることで、いろいろな気づきがあり、さらに新しい発想が生まれることもあります。この本に載っている料理がなんとか形になったのは、著者らの考え方の違いを突き合わせ、時間をかけて検討したからです。

現在、分子調理法は、特定の人が特定の場所で特別の料理に用いる傾向があります。けれども、私達には、身近な手段としての分子調理の可能性を示したいという共通の想いがありました。新たな調理法は、料理の世界に選択肢を増やし、その世界をより豊かにしてくれます。

今回作った料理は、著者らの空想の料理を実験室で現実化したものです。皆さんも、頭の中で空想の料理を創ったり、食べたい料理を想像して実際に作ったりした経験があるのではないでしょうか。頭の中に思い描く料理には、現実に存在するものよりも、遥かにたくさんの斬新な料理があります。自分の空想を叶える調理法のひとつとして、私たちは分子調理法をキッチンに迎え入れる日が来るかもしれません。

日々の生活において変わるもの、変わらないもの、残るもの、残らないものは数多くあります。もちろん料理も同様です。私達それぞれが今日まで食べてきたものは、料理の歴史の一部でもあります。これから先の料理は未知の歴史です。この本で紹介したメニュや、それぞれが日々食べる料理、さらに頭の中の空想料理は、どのように進化していくのでしょうか。さまざまな視点を持ちながら、まだ誰も出会ったことのない料理を皆さんと生み出していければと思います。

著者一同