Science

2022.05.11

ガラスのドームの中にオシロスコープの映像が浮かび上がる “ペッパーズ・スコープ” 作者へのインタビュー

Text by Caleb Kraft
Translated by kanai

単にカッコイイというだけでなく、すでに普通と思われているものを賢く再利用した、ものすごく気になるものに出くわすことがたまにある。

先日、私のTwitterのタイムラインにJoshua Ellingsonの実験が現れ、途端に魅了されてしまった。Ellingsonは、オシロスコープの何かしらの巧妙な数学的処理の映像出力を、何かしらの方法で空中に描きだしていた。

その結果は、まるで生きものだ。聞こえてくる音楽に合わせて波打ち、脈打ち、ガラスのドームの中に浮かび上がる。どうやってるんだ? この新発明の仕掛けは何なのか? 実はこれ、みなさんも昔から何度も目にしているはずの「ペッパーズ・ゴースト」という技法だ。(日本語版編注:ペッパーズ・ゴーストのWikipediaページ

私はEllingson氏の活動について深く知りたくなり、直接話を聞くことにした。

いつ、なぜ、ペッパーズ・ゴーストで遊ぼうと思ったのですか?

2019年に、Disney+の「イマジニアリング~夢を形にする人々(The Imagineering Story)」というドキュメンタリー番組を見たときから始まりました。最初の何本かはペッパーズ・ゴーストのトリックが生まれた経緯を探るものですが、私はその手法に以前から興味を持っていたのです。私は、水を使わないアクアリウムと白黒テレビの実験を組み合わせて、水槽の中にテレビを映し出すという試みに取り組んでいました。このドキュメンタリーを見て、水槽の中でテレビを映し出して、ペッパーズ・ゴーストの金魚を泳がせたら面白いだろうと思いついたのです。そこで、アクリルのフレームと平面ディスプレイを使って試してみました。それが驚くほどうまくいき、たちまち私はとりこになって、このコンセプトをもっと追究したいと思うようになりました。

音楽に合わせて映像がリアルタイムで歪むのは、なぜですか?

即時性によって、この実験はずっと面白く活動的になっています。新しいことを即座に学びたい私には、即時的に取り組むことが、その一助になっています。その方法なら、計画を立てて、さまざまな要素を試すといった骨の折れる作業に翻弄されることなく、素材と対話ができるのだと思います。音は、どのような映像と組み合わせるべきかを教えてくれることがあります。またその逆もあります。もともと私は、古いレコードやラジオの音源で映像を操作するという実験を行っていましたが、そのプロジェクトを著作権に引っ掛からない、著作物との一致で削除されることのない形で公開したかったのです。私は自分をミュージシャンだとは思っていませんが、シンセサイザーの音は好きだったので、音作りの方法を学びました。

この効果を応用してやってみたい実験は、他にありますか?(映像とオシロスコープはすでにやっていますが、次は?)

ペッパーズ・ゴーストをリアルタイムで顕微鏡と組み合わせてみたいですね。微生物をじっとさせておくのは少々困難ですが、前に一度、冷蔵したレタスについていた動きの遅いアブラムシを拡大したことがあります。また場所が許せば、巨大なペッパーズ・ゴーストを作ってみたいです。

これをティンカリングから一歩進める計画はありませんか? ショーにするとか、公開デモンストレーションをするとか?

昨年は、サンフランシスコのATA(Artists’ Television Access)で展示を行い、つい最近ではカストロ通りの書店、Fabulosa Booksで(アーティストのJason Mecierとのコラボで)展示を行いました。今年の後半に向けた計画はありますが、まだ一般公開の予定はありません。

もちろん、Ellingsonの活動はこのオシロスコープのアートにかぎらない。彼のYouTubeチャンネルでは、もっとたくさん見ることができる。

多くは、古いテレビやその他の表示装置を利用してこの効果が作られている。映像の画質によって、結果はまったく違ったものになる。

ぜひ彼のYouTubeチャンネルをチェックして欲しい。見るべきものがたくさんある。EllingsonのInstagramTwitterでも、いろいろな情報を得ることができる。

原文