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2013.02.06

「作る」ってどういうこと?

Text by kanai

Young Pro Maker

 

よくこう聞かれる。その裏には「そんなに大事なこと? 理解できない」という意味が込められている。表面的な答に意味はない。「作るとは、何かを作ることだ」昔からみんながやってきたことだ。新しいことではない。それなのに、興奮する。それのムーブメントが起きている。世界を変えると言っている。どうしてこうなるのだ?

もっとも低いレベルでの「作る」ということは、根源的なものだ。私たちは必ず何かを作っている。そして、そこから大いなる満足感を得ている。「作る」ことの階層を上げるには、昔から技能を身につけることが必要不可欠だった。素人の段階から始まって、時間と無数の訓練を経て次第に上達していく。やがて、高い技能を持つ師匠の指導の下、専門的な技術を習得し、本物の職人になる。人は創造的な存在だ。人は作ることが好きだ。しかし、技術の習得には高い壁があった。それが今、変わろうとしているのだ。

コンピューターとインターネットが、作ることの障壁を低くしてくれた。数十年にわたり、工具は賢くなり、デザイン用ソフトウェアはより高性能になった。そしてそれらが協力することで、アイデアをプロトタイプにするまでが簡単になった。コンピューターも大きな役割を果たしているが、インターネットもまた大きく貢献している。共有と協力という双子のコミュニケーション活動によって、これまでになく、アイデアを発展させて製品化することが簡単にできるようになった。今では、他の人が公開したデザインを使って物を作ることができ、自分にない技術を持ち、いっしょに作ってくれる人を探すこともできる。プロトタイプの製作、やり直し、改良も高速化した。私たちは新しい現実の世界に住んでいるのだ。そこが今までと違う。そこが変化したところだ。ここが最先端なのだ。もう父親の時代の「物作り」とは別物なのだ。

その結果、今のMakerたちは、びっくりするようなものを作っている。アイデアはコンセプトだけでは終わらない。次のレベルへ進めて、実体化できるのだ。この延長線上の果てにはプロのMakerがいて、同じやり方で、もっと大量に物を作り、大勢の人々に供給し、商業、富の創造、経済に大きなインパクトを与えている。規模が大きくなれば、彼らの成功の意味も大きくなる。それにより、私たちのムーブメントが社会に利益をもたらすことになるのだ。

「作るってどういうこと?」

いつか、この質問がどこかに消えて、より多くの人が物を作り始めることを私は夢見ている。

[原文]