2013.03.27
Kickstarterを使わずに自前でクラウドファンディング(2)
Scoutの注文受け付けを開始してから3週間になる。Scoutは面倒いらずのDIYホームセキュリティーシステムだ。詳しくは、scoutalarm.comを見てほしい。前回の記事に書いたとおり、私たちは自前のクラウドファンドサイトを立ち上げた。Lockitronの前例を踏襲しながら、彼らのSelf Starterプロジェクトを利用して、Kickstarterを使わずに行く方針を決めた。
Scoutは現在、予定よりも早くキャンペーンゴールを達成する勢いだ。この2週間、私たちは多くのことを学んだので、最初の記事に書き足したいことが増えた。メディアで紹介されることが少なくなってくると、創造力が必要になってくる。私たちが学んだことの中には、キャンペーンを開始する「前」に知っておきたかったこともあった。この記事が、私たちを参考に自前のクラウドファンドを立ち上げようというみなさんの役に立てたらと思う。
2週目と3週目に学んだことを列挙しよう。
後援者(バッカー)には早くから何度も声をかける
クラウドファンドサイトを立ち上げると、キャンペーンの中頃で、または最後の週に後援者に報告をしたいと考えるだろうが、もっともっと積極的にコンタクトを取るべきだ。私たちには、後援者からメディアに載った記事を公開してほしいという要望があった。彼らが購入した製品をもっと盛り上げて期待を高めるための方策を、事前に準備しておけばよかったと思った。少なくとも、1週間に一度は後援者に連絡をとり、気軽にニュースが読める形を作るとよい。
メディアに第二の切り口を見せる
運が良ければ、最初の2週間でメディアの反応が得られるが、その後は尻すぼみになる。売り上げも、1日100ユニット以上から5ユニット以下に落ちる。キャンペーンのゴールに到達できないのではないかと焦っていないで、第3週、第4週にも取材に来てもらえるよう新しい話題をメディアに与えるのだ。最初の広報資料にはなかった、製品や事業に関する、メディアが喜びそうなユニークな点を探そう。そしてメディア担当者に、簡潔で、取材したくなるようによく練り上げた切り口をメールで知らせる。
初日からリターゲティングのキャンペーンを始める
Kickstarterに組み込まれたプラットフォームのようなものは使えないので、1カ月間に、同じ人が何度も見に来てくれるような工夫をしなければならない。いろいろな理由で、始めてサイトを見に来た人が、そのとき製品を買うとは限らない。そんな場合にリターゲティングが重要になる。私たちはプロジェクトの開始時点から、閲覧者のリターゲティングにAdroll(編注:コンテンツマッチ広告の一種)を使いたいと考えていた。先に広告を作る心配はないが、見に来た人たちに即座にクッキーを設定することが大切だ。こうしておけば、メディアの扱いが減ったとき、何本か広告を作ってリターゲティングに活用するのだ。料金も安い。私たちの場合は、340ドルで、2週間のうちに43,000のインプレッションと81クリックを得た。
伝道者(エヴァンジェリスト)を支援する
ただ力になりたくて、あなたの製品のことを宣伝してくれる人たちが大勢いる。これは素晴らしいことだ。しかし、まったく新しい後援者たちに向けて、彼らの宣伝してくれる努力を支援することで、新しい伝道者を育てることができる。これは、私たちがもっと早く気づいていればよかったことだ。キャンペーンの第3週目に、私たちは後援者に向けた紹介プログラムを行ったところ、これが大成功だった。彼らのネットワークを通じて紹介を行ってくれるという各後援者に一意のURLを割り当て、競争をさせた。もっとも多くの紹介を送ってくれた人には、100ドル分のギフト券と製品を無料で進呈した。これは毎週行うべきだ。
読まない人が読まずに済む方法を考える
人はデモビデオが好きだ。写真やレンダリング画像が好きだ。図が好きだ。しかし、時間をかけて文章を読もうとはしない。送られてくる質問メールの半分は、サイト内で文章で説明していることだ。みんな忙しくてイライラしている。あなたがサイトに書いた文章は、ほとんど読まれないと覚悟しておくべきだ。そこで、情報はなるべく視覚化して、デモビデオを増やして、極力文章を短くするように心がける。
起業家は他の起業家を助けたがる
起業家はどんなに成功しても、自分の出発点を忘れないもので、機会があれば他の起業家を助けたいと思っている。彼らに助けを求めよう。しかし、ただ助けを乞うだけではいけない。彼らが長年苦労して築き上げてきたプラットフォームは、単なる宣伝チャンネルではない。すべての起業家の助けになるように、援助のアクションが起こせる方法を提供するのだ。私たちは、この一連の記事を通して、コミュニティ全体の役に立つことで、他の起業家たちから驚くほどの反応を得ることができた。
ソーシャルメディアを使って「サラウンド効果」を作る。
Tim Ferrissが、Kickstarterキャンペーンで成功するための素晴らしい記事を書いている。そのなかで彼は、ソーシャルメディアを使って「サラウンド効果」を作り後援者と共有すると書いている。彼のチームは、更新メールを送るごとに、Facebookの関連記事に「いいね」ができる非常にシンプルな共有テンプレートを添付したのだ。後援者はリンクをコピーアンドペーストするように依頼する必要がない。テンプレートならクリックするだけで済む。こうすることで、メッセージがまったく新しい人たちにも届くようになり、彼らもシェアしたりコメントしたりするようになる。このテンプレートはオープンソースなので、大いに利用しよう。
後援者とただ話すだけでなく、「ほぼ後援者」とも話す
あなたのサイトに興味を示すグループがいくつか現れるだろう。リターゲティングで集まる人たち、電子メールで集まる後援者たち、また電子メールの「後で知らせる」で集まる後援者たちだ。そして4番目に、「ほぼ後援者」と私たちが呼んでいるグループがある。チェックアウト手続きはした(彼らからのメールは届いている)が、Amazonへ飛んだあとに手続きを完了させなかった人たちだ。彼らの電子メールは届いているのだから、注文を完了できるように手助けしてやろう。買いたい意志はあるのだ。話を固めよう。
バーチャルアシスタントを雇う
私たちは雇わなかった。だから大変だった。メディアに取り上げられると、普段よりもメールが200通ほど増える。定型の返事を送るだけなら、誰がやっても同じだ。返事を送るのは、下手をすると1日3〜4時間の仕事になる。キャンペーンのプロモーションをしていないすべての時間が食われる。バーチャルアシスタントを雇えば、簡単な質問にも対応してもらえる。その間、あなたは難しい質問や重要な話に専念できるわけだ。
買ってもらおう
クラウドファンドキャンペーンを開始すると、あらゆる種類の質問やリクエストが寄せられるようになる。特注品を求める人もいれば、ベータテスターになりたいという人、独占販売契約を結びたいという人も現れる。相手が真剣なら、製品の注文を入れてくれるはずだ(後で無償進呈するにしても)。販売に消極的になってはいけない。ここでは例外はマスコミだけだ。マスコミには、準備ができていれば、テスト用の見本品を送ろう。いい報道をしてもらえる。
初日から紹介サイトとコンバージョンをトラックする
メディアに取り上げられたりサイトで紹介されたりした一件一件から、近似コンバージョンに戻るのは避けたいはずだ。分析やトラッキングは、いつもきちんとやっておこう。そうすれば、キャンペーンで誰がいちばん大きな効果をもたらしているかがピンポイントでわかる。それぞれの後援者を紹介リンクと結びつけて、確実な結果を出す。私たちはなんとかオーケーレベルでやることができたが、完璧ではなかった。これは、今必要なだけでなく、長い目で見たときの決定的なターゲット層の割り出しや、そこへの効率的な売り込みの役に立つ。
以上が、2週目と3週目で学んだことだ。質問があればコメントでどうぞ。私たちの現状は、www.scoutalarm.comでご覧になれます。
この記事のオリジナルは、Scoutブログに掲載されたものです。
– Lindsay Cohen
Lindsay Cohen:Sandbox Industrieの副社長であり、Scoutのアドバイザー。
[原文]