2013.08.21
Kickstarterの1ドル寄付ってどうなの?
クラウドファンドは、今やMaker活動には切っても切れない存在になった。ほんの最近始まったばかりのものであることを忘れてしまいがちだ(Kickstarterは2009年に始まっている)。たしかに、これは非常にパワフルなツールだが、クラウドファンドの文化や基準はまだ定まっていない。そこで先週、友だちと1ドル寄付の「正当性」について話し合ったことを思い出した。
友人は、自分でKickstarterキャンペーンをやったことはないが、いくつかのプロジェクトに寄付をした経験がある。多くの人がそうだと思うが、彼もサポートを依頼するプロジェクトの多さに圧倒された。私の母も、数カ月前に同じようなことを言っていた。「みんながKickstarterキャンペーンに寄付しろと言ってくるみたいよ。数が多すぎるわ」
彼らの言うこともわかる。しかし、見る角度を変えてみようと私は進言した。寄付の依頼が押し寄せたと考えるのではなく、素晴らしい現実だと思うようにだ。友だちも家族も、みんなが大きくてクリエイティブな夢がかなえられる未来が来ると。また、そんなに多額の寄付は必要ないと彼らに伝えた。1ドルか2ドルで十分だと。すると彼らは同じ反応をした。「うそ、1ドル? ケチだと思われない?」
いや、決してそんなことはない。定額の寄付にまつわるこの手の誤解のために、多くの人がこの素晴らしいシステムへの参加を抑制してしまっているのだと私は思う。そんな1ドル寄付の汚名は晴らさないといけない。それには、いくつかの理由がある。
大切なのは、お金よりも気持ち的なサポート。
3つのプロジェクトのうちの最後のやつ(2つは成功して、ひとつはまだ)を進めている人なら、お金かもしれないけど。キャンペーンを立ち上げると、経験したことがないほどの不安や精神的な憔悴を味わうことになる。インターネットに身をさらして審判を待つ状態だ。だから、寄付者に関するメールが届くと、その都度、ひとりひとりの名前を見て、人生でその人たちと出会えたことへの特別な感謝の気持ちに満たされるのだ。これは本当だ。
MAKEの元編集ディレクター、Gareth Branwynは、彼自身のBorg Like Meのキャンペーンのアップデートで次のように上手にまとめている。
「昨日はクリスマスのようだった。1日中、(主に)家族、友だち、同僚からの寄付の知らせが電話に届いた。みんな、リアルタイムで私のアイデアに賛同してくれている。私に投票してくれたのだ。小さなチャイムが鳴るたびに、ハグされているような、ハイファイブを受けているような、頬にキスをしてもらったような気になる。まあ、人によっては、力強い握手をもらった感じかな」
(もっと深くこの感じをつかみたければ、文章全体を読むといいだろう。そして、Borg Like Me!をよろしく!)
お金はありがたい、けど……
言いたいことはわかるよ。もしすべての人が1ドルしか出してくれなかったら、ゴールに到達なんてできないってね。そのとおりだ。だけど、1ドル寄付によって大口の寄付が遮られるとは思わない。これは、寄付していない人のための「入口車線」なのだ。アップデートでより多くの人を誘い込む。成功を祈り応援してくれる人がいるのは、いつだってうれしいものだ。1ドル寄付は、そうした人たちからの励ましのギフトだ。今の世の中では、本当に貴重な財産だと思う。
Kickstarterの共同創設者、Yancey Stricklerから、こんな話を聞いたことがある。
「忘れがちなんだけど、お金は使ってしまえばそれまで、コミュニティは永遠に共にあるということです」
そのとおりだ。Zero to Maker(編注:筆者のMAKEブログを元にした書籍)では、私の成功の評価基準はプロジェクトを支援してくれる寄付者の数だった。そしてそれは完全に報われた。この本の執筆に関しては、寄付者の存在が非常に大きかった。彼らは副題の選択、表紙デザイン、わかりづらい部分の指摘などを手伝ってくれた。
それをしないプロジェクトが多いなんて、考えられない。
発信がすべて
Kickstarterであまり評価されていない機能のなかに、Facebookとの連携がある。Kickstarterコミュニティでは多くの人が、サイト上でFacebookの友だちのアクティビティをフォローするように設定している。つまり、友だちがプロジェクトに寄付してくれると、そのことがすべてのフォロワー(友だち)に伝わるのだ。これは強力なネットワーク効果を生み出す。1ドルの寄付が100ドルの寄付に相当するとも言える。コミュニティによる評価だ。
1ドル寄付でも素晴らしい報酬がある
Kickstarterは、power of $1と題するブログ記事を書いている。1ドル寄付に対する報酬のうち、いいものを紹介しているのだ。これは、ほんの限られた例にすぎない。少なくとも、寄付をした人は、その後のアップデートを読むようになる。
今度、気に入ったキャンペーンに出会ったら、またはプロジェクトの支援を依頼するツイートを受け取ったら、行動して欲しい。1ドルだけでかまわない。
– David Lang
[原文]