2013.12.04
3Dプリンターのスライシングソフトとコントロールソフト
人気の高いオープンソースのプリンタークライアント、Repetier-Hostには、パン、ズーム、ティルトができる美しい3Dウィンドウがある。
モデルをプリントするためには、2つのソフトウェア処理を通過しなければならない。「スライシング」と「センディング」だ。スライシングは、モデルをプリント用の薄いレイヤーに分割し、それを塗りつぶすためのツールパス(プリンターヘッドの通り道)を設定する。そのツールパスを、プリンタークライアントがプリンターに送り、プリンターのさまざまな機能を操作できるよう、ユーザーにインターフェイスを提供する。
今回調査を行ったプリンターに使用されているスライシング・エンジンを見ると、Skeinforgeから離れる傾向が2024年も続き、もっとも人気のエンジンは、以前と変わらずAlessandro RanellucciのSlic3rであった。Slic3r はオープンソースでクロスプラットフォーム。Skeinforgeと比べて高速で使いやすい。多くのメーカーが、それぞれの製品に合わせたSlic3r INIファイルを提供している。
劣勢のKISSlicerだが、採用するところが増えていて、話題に登るようになってきた。クローズドで独自仕様のKISSlicerは、Californian Jonathan Dummerが一人で開発したもので、完全な機能を有する無料版と、マルチエクストルーダー対応、パーツのオートパッキングなどの高度な機能を付加したプロ版(42ドル)がある。
今年現れたプリンタークライアントでは、ドイツで生まれたRepetier-Hostが、Kliment YanevのPrintrunスイート(そのGUI、Pronterfaceが有名)を追い抜いて、もっとも人気のあるオープンソースソフトとなった。Printrunの操作が高機能なマクロ言語によるコマンドライン入力であるのに対して、Repetier-Hostはグラフィカルインターフェイスを備え、組み立てエリアに表示したモデルの3D画像の回転などもできる。また、プリンターの動きをあらかじめ確認できるツールパス・ビジュアライザーも備えている。どちらもSlic3rを上手に組み込んでいて、オールインワンのプリンターフロントエンドを提供している。
こうした、スライシングエンジンをプリンタークライアントと統合する動きは、これからも進むだろう。オープンソースツールもまだ頑張ってはいるが、メーカーによるクローズ化や独自仕様やスライシングとセンディングプログラムの統合といった傾向が強まっている。
David BraamのCuraは面白い異端児だ。完全にオープンソースで、多くのプリンターに対応するが、BraamはUltimakerの社員であり、Curaはそのブランドに大きく関わっている。バージョン13.06では、C++で書かれたカスタム・スライシングエンジンが登場した。これは現時点で、おそらく最速のエンジンだ。Curaにはスライシング用のボタンがない。変更を加えるごとに、バックグラウンドで自動的にスライシングが行われるのだ。標準的なノートパソコンでも、その時間はほんの5秒から10秒だ。これからはこのスタイルが主流になるかもしれない。
Microsoftの参入
この夏、MicrosoftはWindows 8.1を発表し、10月までに、3Dプリンターにネイティブに対応すると公表した。公式なWindowsブログでは、「Windowsでの3Dプリントを、Windowsでの2Dのプリントみたいにする」とそのゴールを書いている。それが吉と出るか凶と出るかはわからないが、今後12カ月で3Dプリンター用ソフトウェアの環境は大きく変わることは間違いない。
訳者から:この記事は、MAKE 別冊『Make: Ultimate Guide to 3D Printing 2014』(英語版)からの抜粋です。
[原文]