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2016.02.22

教授の夢の図書館を見て考える「Makerと好奇心」

Text by Gareth Branwyn
Translated by kanai

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驚くべき自宅図書館の記事など、「Make:」的でないかもしれないが、我慢して読んでほしい。ここに掲載した写真とビデオは、昨日、私のFacebookページに掲載したものだが、FBとTwitterの両方で急速に広がった。私のような本の虫は(私には4000冊の蔵書がある)、こんな究極の自宅図書館を見てすごいと思う。だが、話はもっと深いのだ。

この図書館は、元ジョンホプキンス大学人文科学学部教授のRichard A. Mackseyがメリーランドの自宅に作ったものだ。彼の自宅には、手書き原稿や絵画などとともに、およそ7万冊の蔵書が詰め込まれている。蔵書の総額は400万ドルとも言われている。このコレクションはジョンホプキンス・シェリダン図書館に遺贈されることが決まっている。

「Make:」のファウンダーであるDale Doughertyは、Makerは情熱家だとよく言っているが、ここにはなみなみならぬ情熱を感じる。Macksey博士の、世界の文学とアートに対する生涯を通した情熱がはっきりと現れている。これらの本は、その多くがサイン入りで寄贈されたものだが、友人や同僚が著したものも多い。それは、そこに書かれている知識や想像力を示すだけでなく、人々との深い関わりのある人生、本の知識の周囲に構築されたコミュニティの存在を示している。

この図書館は、一生分の好奇心と、驚きを他人に伝えたいという欲求の生きる記念碑だ。Macksey博士は、その50年にも及ぶ教授人生の間、クラスで芽生えた好奇心の追求を続けられるようにと、クラスの学生を自宅に連れ帰ったことで知られている。学生たちは、この図書館のテーブルを囲んで座り、夜の11時ごろまでここで過ごしたという。Mackseyは、学生の思い出に残る数少ない教授のひとりだ。彼は、学生の世界を見たり考えたりする方法に深く影響を与えた。人生を変えてくれる教師だったのだ。

切れ目のない興味と情熱と知識を他人に伝えたいという欲求に込められた教えは、Makerにとっても無縁ではない。上のビデオを見れば、生涯全方位の教育者であり幅広い愛好家であったRichard Mackseyの生き方に感銘を覚えずにはいられないはずだ。

Makerは生まれつき好奇心の塊だ。物の中身を調べたり人生のアイデアを探ることを抑えきれない。物が動く仕組みを知り、それをどうにかして改良したいと思う。私たちは、一生、学習を続ける。そして私たちの周りには教えたがり屋も多い。何かを学ぶかたわらで、そこで発見した方法や結果を他人に教えたいという欲求を持つ。

昨日、羨望の目でこの写真やビデオを見ながら、私は、学ぶこと、教えること、限りない情熱、一生続く好奇心、そしてそれらがすべてMakerと関連していることに気づかされた。みんなも同じように感じられることを願う。

原文