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2021.06.04

おとでん通信 #13|オンラインの楽しさを再発見。「Maker Faire Kyoto 2021」を振り返る

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しっとりとした空気の中にも初夏を思わせる香りが漂うようになってきましたが、みなさまはいかがお過ごしでしょうか? まだまだ「おうち時間」が続きそうな今日この頃ですが、その分、さまざまなオンラインでの楽しみ、学びが広まってきました。

今回は乙女電芸部も参加させていただいた、5月1日にオンラインで開催された「Maker Faire Kyoto 2021」の様子について、まとめてみました! 乙女電芸部では昨年6月にもMaker Faire Kyoto/Tokyoのスピンオフ企画としてオライリー・ジャパンさんと共催でオンラインワークショップを開催させていただいたのですが、今回は、Maker Faire Kyoto内ということで、いろいろなプログラムを一度に楽しめる機会なので準備からワクワクしていました。

「Maker Faire Kyoto 2021」の振り返り

それでは、まずは乙女電芸部ワークショップの様子からレポートしていきます!

LEDと身近な材料で「光るクラゲストラップ」を作ろう!

昨年6月のオンラインワークショップは、参加者にあらかじめキットをお送りしたのですが、今回はふらっと参加してもらえるように、参加者ご自身で材料をご用意いただくことにしました。材料のご案内はこちら。当日配信したワークショップのアーカイブはこちらです。

ワークショップはリアルタイムでYouTube Liveで配信され、どなたでも自由に見ていただける形式でしたが、出演者として予め5名の知り合いのお子さんたちにお声がけし「おとでんフレンズ」としてZoomに招待し、一緒に作ってもらいました。配信前にはZoomに集まってもらい、自己紹介や挨拶をして、わきあいあいとはじめることができました。

LEDと電池の向きなど、少しお勉強の要素がある部分は手書きのポストイットを用意してゆっくりと確認できるように工夫しました。

詳しい作り方は、アーカイブまたは連載第4回の記事をチェックしてみてください。

おうちでのワークショップということもあり、ストラップ以外の楽しみ方もお伝えするため、部員が分担して飾り方や遊び方の作例も用意し紹介しました。

クラゲ釣りゲームやボトルに入れた飾り方など、おうちで光るクラゲが楽しめるアイディアが満載ですのでぜひアーカイブの後半部分でご覧ください!(工作したあとに遊び方を紹介するということで、部員たちはこれを「わくわくさん方式」と呼んでいました。)

オンラインのワークショップは2回目となりますが、参加者の方の進捗具合を映像で確認し声がけをしながら進めることで、全員時間内に完成させることができました。参加者のお子さんたちもとても楽しんでくださったようです。ご自宅にいながら親御さんと参加できるため、対面のワークショップとは違うリラックス感のある雰囲気の中で進めることができました。ぜひ今後もいろいろなワークショップをオンラインで開催したいと思います!

光るクラゲは乙女電芸部のオンラインショップにて材料の揃ったキットを購入可能です(1セット500円)。当日参加できなかった方も、おうちでお好きな時間にお子さんとアーカイブを見ながら作ってみてくださいね。完成したら写真を撮って #乙女電芸部 のハッシュタグをつけてSNSに投稿していただけると嬉しいです!

当日は乙女電芸部Twitterアカウントでも、ワークショップの模様を実況していました。こちらのスレッドにつなげて、リアルタイムで内容をどんどん投稿していました!実況中継もほぼ初めての試みでした。

https://twitter.com/otomedengeibu/status/1388378730532204544

今回はオンライン開催であった分、インターネット上でもご参加いただけたことが非常にうれしかったです!

当日はハッシュタグでのご参加も呼びかけていたのですが、こうした会場外からの参加者の声や、実際に作っていただいた作品の写真を見ることができるのは、オンライン開催の醍醐味だと感じました。

また、本番の後には、Zoomで参加いただいたおとでんフレンズの方からさまざまな報告をもらいました!

ワークショップが終わったあと、作った光るクラゲを暗いところに持っていってさっそく遊んでくれたとのこと。LEDを使った作品は、作っている机の上よりも暗いところで見たほうがキレイに見えるので、いつもはよく作業台の下で一緒にできばえを見てみたりするのですが、それをご自宅のいろいろな場所でやってみることができるのはすごく素敵ですね。

「光るっていうだけでワクワクするし、作ったあとも暗い部屋にこもってうっとりしてるし、やってよかった!」とのコメントももらいました!

さらに、できた作品に顔をつけてみたり、それをヘアゴムと組み合わせ、イヤリングに加工して遊んでくれたとのこと。家にあるものと組み合わせて、別の使い方になるのは楽しいですね!

さらには、クラゲの家を作って遊んでくれたとのことです。設計図まで作って、家にあった空き箱やいろいろな材料を使って作ってくれたようなのですが、部員一同とっても驚きました!

会場だけで完結しない分、ご自宅でいろいろな遊び方をしていただけるのは広がりがあってよいですね。また、ご自宅だと時間的な制約もないので、思うがまま遊びの続きとして楽しんでもらえるのがオンラインワークショップの新しいところだなと感じています。


ここからは、おとでんメンバーが気になった、Maker Faire Kyotoのプログラムについてご紹介していきたいと思います。アーカイブはこちらからいつでも楽しめますので、見逃した方はぜひ!

作って、向き合う — COVID-19に応答したオープンプロジェクトから学ぶ

前夜祭的に、関連イベントとして4月30日に公開されたこちらのセッションは、IAMASの小林茂先生とFabLab SENDAI-FLATの大網拓真さんによるもの。COVID-19の状況下で発生したいろいろなオープンプロジェクトをリサーチして分類されていました。

カテゴリのなかで特に気になったのは「クラフトセラピー」というもの。手を動かしてものづくりすることで自分自身を癒やしたりそれをオンラインで発表して誰かとゆるやかにつながったりすることが、盛り上がっていました。日本では「おうち工作」というワードが流行って、休校や屋外で遊べない子どもたちがおうちでものづくりを楽しんでいましたよね。

振り返ると、このおとでん通信が始まったのは2020年3月。4月の第2回目からは、毎回のようにおうち時間で工作を楽しみましょう! と言い続けて色々なレシピをアップしてきました。気づけば連載も13回目。少しでも皆さんの癒やしになっていたらいいなあと思います。

普段自分たちのプロジェクトをあまりメタ視点で見ないのは乙女電芸部の悪いところなのですが、このセッションによって私達がやってきたことを客観視できました。まさにタイトルどおり、「作って、向き合う」ですね。

メイカーの皆さんはなかなか不安定な状況であまりご自身の活動を振り返らないままこの一年を過ごされてきた方も多いと思います。ぜひ、皆さんもこちらのセッションをみてこの一年を振り返ってみてはいかがでしょうか?

クラフトセラピー以外にもメイカーならではの知恵を凝らしたプロジェクトがたくさん紹介されていますので、色々な切り口で楽しめる&勉強になるセッションでした!

『分子調理の日本食』出版記念 〜石蛙博士の分子調理講座〜

このセッションでは、この春出版された「分子調理の日本食」という書籍の中から、いくつかの分子調理法を実際の調理の様子も交えながら紹介されていました。そもそも「分子調理法」がどんなものなのか、全く知りませんでしたが、本編ではこれを「空想を叶える調理法」という言葉で表現されており、とても素敵なご説明だな~と思いました。

実際に紹介されていた「空想の料理」はこちら!
・揚げても解けないゼリーの天ぷら(ゲル化の技術を利用)
・キャベツをシート状の肉でつつむロールキャベツ(熱ゲル化の技術を利用)
・イナゴハンバーグ(架橋化の技術を利用) …など

……どれも聞いたことのない未知の料理のオンパレード!! でも、例えばちょっと高級なフレンチではコースに出てきそうだし、味覚だけでなく視覚・触覚などもフルに刺激されて、大変楽しい食体験になりそうですよね。詳細が気になる方は、ぜひアーカイブをチェックされてみてはいかがでしょうか。

本題とは少しそれますが、スピーカーがカエルのぬいぐるみ(著者の石川先生ならぬ、石蛙先生)で、飽きさせない工夫も素晴らしいと思いました。

他のYouTubeプログラムもMaker Faireの会場でよくお見かけする方々ばかりで、おうちにいながらお祭りを楽しんでいるようでした。作品発表や当日の様子はTwitterのハッシュタグ #MFKyoto2021 にたくさんあがっています。当日参加できなかった方もいつでもお祭り気分を味わえますのでぜひ!

おとでんの日常

「Maker Faire Kyoto」と時を同じくして、乙女電芸部 山口支部長 今野は、職場(山口情報芸術センター[YCAM])で「未来の山口の運動会」というイベントを行っていました。
「イベント中の期間内に『新しい運動会種目』を作り出し、その新しい種目だけで構成された運動会 = 『未来の運動会』を実施する」というこのイベントは、2015年に開始して今年で6回目。今年は新型コロナウィルス感染拡大状況を鑑み、会場をYCAMとオンライン(Zoom)に分け、会場同士でコミュニケーションを取りながらお互いに協力して新種目を制作、運動会を実施、さらにその様子をYouTube Liveで配信しました。種目のなかには、Youtube Liveを見ている方が参加できるものもあり、“みんなで集まる”が難しい現状のなかでも、だれでも観戦・参戦することができるイベントとなりました。


撮影:谷康弘、写真提供:山口情報芸術センター[YCAM]

昨年に引き続き、先が見えない状況が続きますが、イベントへの参加やワークショップ実施などを通じて「どんな状況でも『つくりたいものをつくる』はできる」ということを改めて実感できる5月となりました。