Electronics

2024.11.01

「たのしいmicro:bitコンテスト2024」Maker Faire Tokyo 2024にて受賞結果が発表されました!― Maker Faire Tokyo 2024 ステージレポート #2

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教育用マイコンボード「micro:bit(マイクロビット)」を使った作品コンテスト「たのしいmicro:bitコンテスト2024」。9月16日(月)に決勝大会がMaker Faire Tokyo 2024のプレイベントとして行われ、9月22日(日)、Maker Faire Tokyo 2024の中で受賞結果発表が行われました。

7回目となる今年は、イギリスよりMicrobit Educational Foundation(Micro:bit教育財団)のGareth Stockdaleさんにご来場いただき、受賞者一人ひとりに直接メッセージをいただいたほか、財団の最近の取り組みについてもスピーチいただきました。

8月中旬に一次審査通過作品を発表。一次審査を通過した2部門6作品が、決勝大会で最終プレゼンを行いました。決勝大会でのプレゼンテーション動画の内容と、審査員による質疑応答の内容を総合して審査が行われ、グランプリ1作品、優秀賞2作品、特別賞3作品の受賞が決定しました。審査員のコメントとともに紹介します(作品名のリンクから、作品の紹介動画が見られます)。


●グランプリ(1名)
竹無双」作者:じゃんけん侍さん


カムを使った機構やmicro:bit複数台の無線通信など作品の完成度が高いのはもちろん、動画でのプレゼンテーションも素晴らしかったです!地元のお祭りで160人の方に体験してもらったということで、作って終わりではなく、いろいろな人に体験してもらって、micro:bitや電子工作、ものづくりのたのしさを広めているのもステキです。今後もたのしい作品をつくって色々な人に体験してもらってください!(審査員:矢島)

●優秀賞(2名)
関ケ原の戦い with micro:bit」作者:hodahodakaさん


関ヶ原の戦いという歴史的な出来事を通じて、歴史の楽しさと地元・岐阜県関ケ原町の魅力を伝えている作品です。戦いの流れをジオラマとmicro:bitで再現し、さらに小早川秀秋という視点から物語を描くことで、オリジナリティあふれるものになっています。また、英語のナレーションも取り入れており、外国の方にも楽しんでもらえるようになっています。作品全体に、地元の歴史や文化を知ってもらうための素晴らしい工夫が施されています。(審査員:原)

お駄賃自動入金式半自動洗濯物畳み機」作者:空Walkerさん


シャツを機械で自動で畳むのは難しいように思えますが、工夫を凝らし、軽快に畳むことができる機械を実現できていました。畳むための工夫がとても素晴らしく、機械の上にのせたシャツが畳まれていく様子はとても爽快で楽しさがあります。さらに追加機能があり、畳むと10円のお駄賃がもらえるというもので、親がお駄賃をまとめておいておくと畳むたびにお駄賃がの10円玉が出てくる工夫もされていました。(審査員:折原)

●特別賞(3名)
Learning English」作者:YKさん


この作品は、トイレを英語学習の場に変えるというアイデアで、問題を解くことでポイントを貯め、キャラクターを集める楽しさを盛り込んだ設計が特徴です。トイレで学習するということに取り組んでいる方々も多いと思いますが、micro:bitやハスキーレンズ、3Dプリンターなどの多様な技術を活用し、多機能な装置を完成度高く作り上げています。自分自身が学習を継続するための仕組みを自ら作り出すという、ものづくりの楽しさが感じられる作品です。(審査員:原)

micro:bitで作る「聴力検査装置」」作者:鈴木勝順さん


年齢を重ねるにつれ、だんだん高い周波数の音が聞こえなくなるというのは知識では知っていても、チェックをする機会はあまりないですよね。それを楽しく世代問わずみんなでできるのがいいな!と思いました。聞こえた一番高い周波数の分布図をつくることで、年齢によって傾向も見えるけど外れ値もあったりして、能力の優劣というより個性として捉えられるのがいいな、と思いました。また、世界の人に体験してもらって地域による特性を調べたいとおっしゃっていたのも印象的でした。micro:bitを使って世界中の人とつながってリサーチできるとよいですね!(審査員:矢島)

bearbeat」作者:たこぴんさん


時代とともに生楽器から電子楽器へ、生演奏から自動演奏へと移り変わっていく中で、「生楽器の自動演奏」に注目し、micro:bitで自動化されたこだわりの演奏を見事に実現していました。かわいらしいクマのぬいぐるみが動いてドラムを演奏してくれるこちらの作品は、設定したリズムどおりにクマが両手両足を動かし、ドラムを叩いてくれます。特に、クマのぬいぐるみが足でバスドラムを蹴って演奏している姿はとてもかわいらしくて印象的でした。(審査員:折原)


(左から)審査員の折原ダビデ竜さん、矢島佳澄さん、原正幸さん


ステージでは、最近のMicro:bit教育財団の取り組みについても、Gareth Stockdaleさんにより語られました。

Micro:bit教育財団の掲げる目標は「Inspire every child to create their best digital future」、つまり「一人ひとりの子どもが、デジタルの力を使って自分の将来を切り開いていくことを推進する」ということ。そのための環境づくりを積極的に進めていると言います。具体的には、MakeCodeやPythonエディターなどの間口の広いコーディング環境の提供、授業の中で使えるカリキュラムリソースの提供に加え、さまざまな研究・調査も行っているそうです。現在では、30か国以上で5300万人以上の子供たちがすでにmicro:bitを手にしています。

日本でもたくさんの人がさまざまな形でmicro:bitを使ってくれており、コミュニティが育っていることは、とてもうれしく思っています(Gareth Stockdaleさん)

最近なにかと話題にのぼるAIに対しての取り組みも、Garethさんの口から語られました。micro:bitで収集したデータをMakeCode上でマシンラーニングさせて、システムに組み込ませることができるような機能を、11月にリリース予定とのこと。

自分の好きなことにAIを使って、データをどのように活用していくかを、楽しみながら学べるような環境を提供するので、みなさんにぜひ使ってほしい(Gareth Stockdaleさん)

最後に、Micro:bit教育財団のJapan community leadである畑紗羅さんより、以下のメッセージをいただきました。

あったら楽しいな、楽しくなって作っちゃった、あの人を楽しくさせたいな……など、いろいろな想いが形となって、今年もこのコンテストを彩ってくださったこと、本当にうれしいかぎりです。micro:bit のいろいろな可能性を見せていただき、micro:bitをきっかけに、たくさんの人の世界観や「好き」がつながる機会としてこのコンテストが続いていることに、そして参加してくださった皆さんに感謝しています。これからも「ものづくりってたのしい!」を多くの人に届けられるよう、micro:bitを使っていただけたらうれしいです。(畑紗羅さん)


(左から)Microbit Educational Foundation CEOのGareth Stockdaleさん、Japan community leadの畑紗羅さん


Maker Faire Tokyo 2024会場でのコンテスト作品展示には、たくさんの方が訪れてくださいました。

ご応募くださった皆さま、決勝大会や受賞結果発表をご覧いただいた皆さま、本当にありがとうございました!決勝大会、受賞結果発表のもようは、以下のリンクからご覧いただけますので、まだご覧になっていない方は、ぜひチェックしてみてください。

◎「たのしいmicro:bitコンテスト2024 決勝大会」
URL:https://www.youtube.com/watch?v=Ed9eXjJV_ek
◎Maker Faire Tokyo 2024|「たのしいmicro:bitコンテスト2024」受賞作品発表
URL:https://www.youtube.com/watch?v=zgymEkarJyw

7回目をむかえ、本コンテストにたくさんの方が素敵な作品を寄せてくださいました。応募作品ひとつひとつに必ず目を通し、丁寧に審査をしています。参加いただいたみなさんに感謝いたします。

みなさんの作品を見ていると、日常感じている困りごとや、自分が面白い!好き!と思ったことからスタートしていることを感じます。作品のネタは日常のあらゆるところに転がっているのかもしれませんね。何か特別なものを作ろうとしなくても、日々の生活の中で、「あ、これ、micro:bitを使えないかな?」と考えていると、自然と作品につながっていくのかもしれません。

来年もたくさんの楽しい作品に出会えることを心待ちにしています!

■参考書籍
micro:bitでものづくりをはじめてみたい!と思ったら、はじめて使う人にもわかりやすく解説した本『micro:bitではじめるプログラミング――親子で学べるプログラミングとエレクトロニクス 第3版』(オライリー・ジャパン刊)も、ぜひご一読ください。