Crafts

2013.04.09

子どもMakerのための場所

Text by kanai

Makerスペースはどんどん人気を高めている。よく知らない人のために説明するならば、Makerスペースまたはハッカースペースとは、人々が集まってものを作る場所だ。それぞれに特徴があるが、コミュニティとしての意識を持ち、物作りの楽しさや知識を分かち合う場所であることが共通している。そうした施設が近くにあればラッキーだが、そこが子どもも受け入れてくれるとは限らない。子どもたちが自分のアイデアを形にしたと思ったとき、若きMakerをどこへ連れて行けばいいのだろうか?

これは重要な問題だ。そこで私は調査を行い、子どもを連れて行ける優れたスペースを5カ所見つけた。

1: ホームセンター

Race car project from a Home Depot workshop

Home Depot workshopのレーシングカープロジェクト。

アメリカのホームセンターの2大ブランドは、Home DepotとLoweだ。Home Depotでは、子ども向けの無料のワークショップを毎月第一土曜日に開催している。プロジェクトは、5歳から12歳の子ども向けに設定されている。9時から正午までの間なら、いつでも参加できる。スケジュールは、同店のウェブサイトにあるKids Workshopsタブで見られる。

最初、子どもたちは作業用のエプロンをもらえる。そして、プロジェクトごとに新しいピンがもらえる。私はうちの子どもたちを連れて何度か参加したことがある。とても楽しく、1時間ほどで完了する。息子は初回に小鳥の巣箱を作り、2回目は妹とレーシングカーを作った。

Loweでは、Build and Grow(作って育とう)と呼ばれる無料の子どもクリニックを開催している。Home Depotと同じく、参加するときに子どもを登録する必要がある。私の地域のLowesでは、次の2回の子どもクリニックはすでに満員だった。少し前もって計画しておいたほうがいいだろう。

Ace Hardwareでも、Ace Kids Clubを開催している。子どもを登録しておくと、誕生日月にAceを訪れたとき、特別なサプライズがある。店舗によっては行っていないところもあるので、近くの店舗に確認しておこう。要望が多ければ、やっていなかった店舗でも始めてくれる可能性がある。

その他にも、地元のホームセンターに問い合わせてみるといいだろう。定期的にワークショップを開いているところは少ないかもしれないが、聞いてみなければわからない。ワークショップを開催することで、店を訪れる人が増えるなら、店のオーナーも興味を示すだろう。

2: クラフト店

Michaels Kid Classes

Michaelsの子ども教室。

Michaelsは、子どものためのクラフト教室を開いている。内容も対象年齢もさまざまだ。費用はクラスによって違うが、無料か、ほんのわずかだ。私の家の近くのMichaelsでも、たくさんリストされていたが、たったの2ドルだった。いちばん高いのはDuck Tapeクラスで、それでも15ドルだ。Michaelsでは、夏に子どもキャンプも開催している。子どもたちがクラフトを行う誕生会を開くこともできる。

もうひとつの大手クラフトチェーン、A.C. Mooreでは、参加型のデモンストレーションと、Make & Takeプロジェクトを行っている。また、個別のクラフトパーティーも開いてくれる。近所の店舗にスケジュールと教室の内容を問い合わせてほしい。子ども向けの教室をやっていない店舗もある。

Jo-Ann Fabric and Craft Storesでは、子どもと十代の若者向けの教室を開いている。Simple Sunday Make It-Takeと名付けられた教室は、ニュージャージー州パラマス以外のすべての店舗で開催されている。パラマスのみなさん、ごめんなさい。

オハイオ、ペンシルベニア、インディアナのPat Catan’s Craft Centersのように、他にも子ども向けのクラフト教室を開いている店があるので、近所を探してみよう。

3: 美術館と科学博物館

Making an Engineer's Cap at a local Children's Museum

子ども美術館でエンジニアの帽子を作っているところ。

うちの子どもたちは科学博物館と子ども美術館が大好きだ。機会があれば、新しいところへ出かける。近くに大きな美術館や博物館がない場合は、次の家族旅行の予定に入れてみてはどうだろう。

都会に住んでいる人は、世界クラスの科学博物館や子ども美術館があるだろう。参加型のプログラムを開催するところも多いので、スケジュールを調べてみよう。私の一家は、地元フィラデルフィアのFranklin Instituteで開かれた一泊の「キャンプイン」に、カブスカウトの行事として参加した。このイベントには「デザインクエスト」という出し物があった。デザインしてテストしてデザインし直すというサイクルを子どもたちが体験しながら、3つの連続するチャレンジを完了させるというものだ。うちの娘が作った飛行機が、最初の挑戦で風洞の中で見事に浮かんだときは誇らしかった。

大きな美術館が近くになくても、がっかりしないように。地元の新聞やインターネットで近くの美術館を探してみよう。きっと驚くはずだ。

数年前、私は手当たり次第に、子どもとできることをインターネットで探していたところ、私の家からほんの10分ほどのところにある、ボランティアが運営する小さな子ども美術館を発見した。ここに何年も住んでいたのに、その存在をまったく知らなかった。それ以来、そこを何度も訪れているばかりか、私はそこで子ども向けのロボティクス教室も数回開いた。小さな美術館では、できることも限られるが、とても楽しいこともあるし、一般的に安い。地元コミュニティーもサポートしてくれる。

4: 特別なクラフト、ホビーショップ、スタジオ、ワークショップ、学習センター、活動センター

Building pulleys at Kaleidoscope Learning Center

Kaleidoscope Learning Center で滑車機構を作る。

ここは、ちょっとごちゃ混ぜ。上の3つのカテゴリーには特定の店舗など、みなさんがアクセスできるお勧めの場所のリンクを掲載したが、このカテゴリーでは特定の場所が探し出せなかった。なので、どうかみなさん自身で探してほしい。うまくすれば、こうしたアイデアが興味を強くひくこともある。いろいろな可能性があるが、下に少し例を示そう

陶器の絵付けは、無地の陶器に絵を描いて焼いてもらい、あとで受け取るというものだ。「絵付け体験」などとウェブ検索すると出てくる。もっと深く体験したいなら、陶器をろくろで作るところから体験できる陶芸体験教室を探してもいいだろう。

子どもの料理教室はどうだろう。大きなクッキーを作るといった1回かぎりのセッションから、バルティモアで開かれているKids Cook! Summer Campのような本格的なプログラムもある。予約する前にインターネットで料金や内容を確かめておきたい。教室の質もさまざまだ。

ノースカロライナ州キャリーのTime for Art、ワシントン州ベリンガムのGabriel’s Art Kids、テキサス州フリスコの Kids-N-Artなどのプログラムもチェックしてみよう。いろいろな街で、子ども向けのワークショップ、サマーキャンプ、教室などのアートプログラムが開催されている。絵や工作が大好きな子どもなら、近所で内容と予算に合うプログラムを探してみるといい。

教育的な内容の商業的教室も増えている。その多くは、作って学ぶ機会を与えてくれるもので、ニュージャージー州ブレアーズタウンのKaleidoscope Learning Centerがその例だ。子どもの面倒を見ることに特化したものもあれば、優れた教育的内容を提供してくれるものもある。その他、就学前児童向けのプライベートな教室や、家まで出張してくれる特殊教育センターもある。内容は就学前向け、就学後向けとさまざまだ。ここで私が言いたいのは、自分で探してほしいということ。素晴らしい学習センターはたくさんある。でも、すべて同じではない。注意すべきは、子どもを預かることを目的としたサービスだ。大勢の子どもを集める場合が多く、内容が乏しい。

5: Makerスペースとハッカースペース

Reuseum's Robots Rising Workshop

ReuseumのRobots Rising Workshop。

話を最初に戻そう。Makerスペースやハッカースペースは、誰にでも簡単に参加できるわけではないので、主流にはならないが、存在していることに違いはない。子どもにも開放されたスペースや、子ども向けのイベントを開催するところもある。

プライベートなMakerスペースやハッカースペースで、子どもに開放しているところは少ない。18歳以下の子どもを受け入れた場合の責任体制を整えているところもある。その他のところは、大人向けの雰囲気で、子どものことは考えられていない。しかし、例外もある。ニューヨーク市のThe Makeryは、子ども向けのワークショップや教室を方々で開催している。アイダホ州ボイシのReuseumは、科学、工業関連、そして政府払い下げの品を大規模卸売り店だが、センサーやArduinoや3Dプリントを使ってロボットを作るワークショップを開催している。

Makerスペースを併設する公共図書館でも、子どものためのプログラムを実施しているところが増えている。ピスカタウェウ公共図書館では、Make It Yourselfというプログラムが行われている。これは、私たちの公共図書館を再び活気づかせるいい方法だと思う。コネチカットのウェストポート公共図書館も、図書館Makerスペースのパイオニアだ。他の図書館もこれに追随するという記事を読んだことがある。Anythinkブライトン図書館では、基金を受けてティーンエイジャー向けのMakerスペースを作ったそうだ。

そして、もっとも歴史が古く、常に世界を動いているMakerスペースを忘れてはいけない。Maker Faireだ! 毎年、サンフランシスコ湾岸地区、デトロイト、ニューヨークで大きなイベントが開かれている。さらに、アメリカ中で何百ものMini Maker Faireが開かれ、今や世界中でも開催されている。まだ行ったことのな人は、ぜひともお子さんを連れて行ってほしい。

これは決定的なリストではない。ましてトップ5でもない。Makerムーブメントが大きくなれば、もっとたくさん物作りの場が増えるはずだ。それまでは、これを読んで、あなた自身が新しい場所を見つけてほしい。子どものMaker魂を目覚めさせるいいところが見つかったら、コメントで知らせてほしい。

訳者から:アメリカ国内向けに書かれた記事だけど、日本にも当てはまりそうだね。これを参考に、ご近所で探してみてくださいな。

原文