Crafts

2017.05.15

[MAKE: PROJECTS]レコードを自作しよう

Text by Jess Morgan
Translated by kanai

英語版編集者より:このプロジェクトは個人利用またはパブリックドメインを対象としたもので、決して違法コピーを推奨するものではありません。大好きなアーティストは、レコードを買って応援しましょう。イギリスにお住まいの方なら、私のツアーもよろしく


picture-8-a-run-of-records

針を下ろして、自分の曲がステレオのスピーカーから流れてくるのを聞くという最高の楽しみは、最新曲をプレスする工場で少しばかり時間を費やした人間の特権だ。私はもう何年も、カラフルな「モック・ビニール」(模造レコード)やピクチャーレコードを自宅の空き部屋で作り、私のウェブサイトでそれに関するブログも書いている。下の動画は、私が作ったレコードをかけた様子だ。

ここに、自家製レコードの作り方を手順を追って紹介しよう。ご機嫌なプチプチ音入りのレコードだ。費用はほとんどかからない。レコード1枚あれば始められる。

1. ダブプレートを作る

これは、効果的にレコードを「クローン」する方法だ。そのためには、原盤となるレコードがいる。安くて、ダメにしても惜しくないものを使おう。今では、シングル盤(17センチ)の1面のダブプレートを10〜20ポンド(1,500〜3000円)程度で作ってくれるところがある。ダブプレートは、通常のビニールのレコードと同じく、アセテートのディスクを旋盤のような機械を使ってリアルタイムで曲を刻んで作られる(プレス式の逆)。傷や音の揺らぎが加わることを考慮して曲を選ぼう。音量が大きいことも重要だ。

2. 型を作る

picture-1-mould-tray

クローン作りでは、型の製作が大切なポイントになる。上等な型が作れたなら、そこから何枚ものレコードを複製できる。型は友だちだ。大切に扱おう。傷や凹みができないように保護することが重要だ。使わないときは、埃がかぶらないようにカバーをしておこう。レジンは固い素材なので、使うごとに少しずつすり減ってゆくが、ダメになるまでには、相当な枚数が作れるはずだ。

型の台を作るための皿を用意する。できるだけ17センチの直径に近いもので、深さは2センチ以下であること。皿にはシリコンを流し込むため、皿が大きすぎるとシリコンを無駄に使うことになる。大きな皿しかない場合は、ガムテープなどで仕切りを作るとよいだろう。皿の底の中央に、ダブプレートの溝が刻まれていない側に両面テープを使って貼り付ける。溝のある面が上を向くように。両面テープをなるべくたくさん使って、ダブプレートの下側にシリコンが流れ込まないようにする。溝のある面が上で、しっかりと固定されていることを確認しよう。

picture-2-examples-of-moulds

3. 装飾

溝には手を付けることができないが、中央の、通常はラベルが貼られている部分は、面白く加工することができる。水道用のアルミのテープを貼ったり、絵を描いたり、アメリカのコインを押しつけたり。ダイモの文字を貼り付けても面白い。いずれも、両面テープなどでしっかりと固定することが大切だ。

picture-3-texture

私は、絵の具、木工用接着剤、糸、小麦粉と水で作ったペーストなどで、立体的なテクスチャーを作るのも好きだ。もし、色つきのレコードやピクチャーレコードを作りたい場合は、この工程をスキップしてもよい。

4. 流し込む

型どり用のシリコンラバーは、二液混合型のものが購入できる。非常に扱いやすいが、価格は高い。2回目、3回目の型取りだという場合にはお勧めできるが、装飾も含めて、もっといろいろ実験してみたいという方には、硬化剤で固めるタイプの安価なシリコンミックスがよいだろう。シリコンミックスの場合は、ラバーに対して硬化剤を3パーセントといった具合に混ぜて使う。

配合は各製品の説明書に書かれている。計算機とプラスティック製の小さなスポイトがあると便利だ。私は、装飾部分で実験をしたいときは安いシリコンを使い、ピクチャーレコードを作るときは高い方のシリコンを使うようにしている。アーティストの友人が、それに必要な製品を作っているいくつかのメーカーを教えてくれた。インターネットで検索すれば、簡単に見つかるはずだ。

使用する型取り用の皿の大きさによって、使うシリコンラバーの量を割り出す必要がある。私は、570ミリリットル入りのプラスティックのカップを使っている。二液混合型でも硬化剤を入れるタイプでも、570ミリリットルあれば型どりには十分だ。シリコンラバーは時間をかけて丁寧に混ぜること。泡が入らないように、ゆっくり混ぜることも大切だ。

念のため、私は「スキムコート」をお勧めする。混合したシリコンラバーを少量だけ、ダブプレートの溝の上に垂らして、スポンジブラシを使って伸ばし、細かい溝の中にラバーが入るようにあらかじめコーティングしておくのだ。気泡がないことを確認してから、残りのラバーを流し込む。そして、完全に水平な場所に置いて硬化させる。水平器を使って、何度も確かめよう。流し込んだときにできる小さな泡は、自然に消える。大きな泡ができてしまったときは、混ぜ棒などを使って潰しておくこと。

picture-5-casting

1日放置して硬化させたあと、型をはずす。ここがちょっと難しい。型を破いてしまわないように、ゆっくり慎重に行おう。型の底を爪で引っ掻くと、細かい溝が感じられる。

5. レジンを流し込む

レジンを扱う際には、かならず水平な場所で行うこと。水平器で測って、よく水平を確認しておこう。手と目を保護して、換気をよくする。標準的なポリエチレンのレジンはA液とB液に分かれていて、決められた比率で混ぜ合わせて使うようになっている。そこで、デジタル秤が役に立つ。

picture-4-scales

レジンの説明書をよく読み、量の入れすぎによる失敗を防ぐ。私は、A液とB液をそれぞれ別の紙コップに測って入れておく。それから混合を開始する。液を混合するまでは、慌てる必要はない。混合したら、急いで作業しなければならない。

色を付けたいときは、二液を混合する前に、片方の液に着色剤を入れてよく混ぜておく。できれば、同じメーカーの専用の着色剤を使おう。着色剤を入れると、硬化時間が少し延びることがある。混合してからの時間的な余裕が少し増えるが、それでも手早く作業することをお勧めする。

picture-6-resin-colours

A液とB液をよく混ぜて、型の中に直接流し込む。何回に分けて入れてもよい。たとえば、色を変えて変化を付けることも可能だ。その場合は、最初に入れたものが硬化したあと、別の色を流し込む。それぞれ正確に混合してあれば、境目は目立たなくなる。

picture-7-clear-and-coloured-resin

不透明なレジンの効果時間はおよそ1時間だ。着色剤を混ぜると、少し硬化が遅くなる。型から取り出すときは、2時間は待つこと。できるだけ硬くなるまで待とう。硬化前に取りだしてしまうと、レコードが歪んで音が変になってしまう。

透明ポリエチレンは、扱いがやや難しいが、不透明レジンといっしょに使うことができる。透明レジンの場合は、硬化時間がずっと長くなる。透明レジンを使えば、写真やインクやいろいろなものを挟む込む形でピクチャーレコードが作れる。

透明レジンは湿気が大敵だ。プラスティックのカップで、プラスティックの棒を使って混合する。硬化するまで、あまり指で触らないこと。硬化したと思っても、まだ柔らかいことがあるので注意しよう。レジンのタイプごとに、正しい扱い方のチュートリアルを、インターネットでたくさん見ることができる。

レジンの分量は、いろいろ試してみて決めるのがよいが、比率は説明書に従うこと。通常は1対1だ。レジンは簡単に手に入るが、何にするか困ったときは、初心者用のスターターキットを買うとよい。

6. 型から取り出す

半日ほど待てば、レコードを型から取り出すことができる。中央の穴はドリルで開ける。

最後に

あとは、レコードプレイヤーに載せて音楽を聴くだけだ!

レコード作りが楽しめなかったときは、余ったシリコンとレジンを他のものに使おう。下の写真は、私のテレキャスター用に作ったピックガードだ。

picture-9-if-you-get-bored-of-records...

原文