Other

2015.08.10

MFT2015レポート ― 竹コプターに飛ぶ広告塔? Maker Faire TokyoならではのDIYドローン

Text by guest

安定した空中静止がしやすく、操作性も高いことから、とくに空中撮影用途で人気が高いドローン。最近では、災害現場のデータ収集から通信販売の商品配達まで、幅広い活用方法が提案・実験されている。

Maker Faire Tokyo 2015でもドローンの注目度は高く、会場中央のMAKERFIELDでは飛行デモが行なわれるたび、多くの来客がその動きに歓声を上げていた。

とくにおもしろかったのが、市販品のような実用性にとらわれず、自由な発想で作られているマルチコプターだ。このレポートでは、その中でも風変わりなマルチコプターを紹介していこう。

熊本高専 Makersの「竹コプター」、オリジナルの垂直離着陸機

ぱっと見は、普通のクアッドコプターだが、よく見るとフレームとプロペラに“竹”が使われている「竹コプター」を展示していたのが、熊本高専Makers。1枚ずつ手で削り出したというプロペラは、失敗することなく1日で作れたというから驚きだ。竹垣をイメージし、配線の固定などに麻ひもを使うといったこだわりにも感心してしまった。

1-01
さすがにフレームやモーターの固定にはネジが使われているが、配線の固定などには麻ひもが使われている。意外にも和の雰囲気が似合う

1-02
1枚ずつ手で削り出したという竹製プロペラ。4枚とも大きさ、重量、ピッチがそろえられている

公開されている「竹コプター」の飛行動画。当初は本体が揺れてしまっていたが、調整で安定した飛行ができるようになったそうだ。

「竹コプター」のすぐ隣に展示されていたのが、垂直離着陸が可能なトライコプター。空中で1つのプロペラを止めることで姿勢が変わり、高速移動が可能な固定翼機になるというのがおもしろい機体だ。止めていたプロペラを再度回せば、元のトライコプターとなる。昨年の試作では茶色のスチロールだったが、今年機体を作り直したとのこと。

1-03
この方向から見ると、尾翼はないものの普通の固定翼機のように見える

1-04
上から見ると、3つのプロペラをもつトライコプターだとよくわかる。この姿勢のまま離陸し、空中でモーターを1つ止めることで90度傾け、固定翼機として飛ぶことができる

試作機での動画だが、こちらの飛行シーンも公開されている。

徳島大学工学部機械工学科制御工学研究室の飛行ロボット各種

一般的なプロペラではなく、ダクトファンを使ったマルチコプターを多数展示していたのが、徳島大学工学部機械工学科制御工学研究室。「倒立推力方向偏向型DFO(Ducted-fan Flying Object)」は、2軸のジンバルで保持した2つのダクトファンを傾けることで推力方向を制御し、重心が高くても安定した飛行を実現した機体だ。将来的には固定翼を付け、水平飛行も考えているという。

1-05
バッテリーを上部に、ファンを下部に配置した高重心でも、安定した飛行が可能。ダクトファンの傾きを変えることで、安定した飛行と移動とができる

1-06
「サンダーバード1号」のカバーを装着しても飛行可能。固定翼は今のところデザインのみで実用性はない

ひときわ目立っていたのが、ヒューマノイドロボット用飛行ユニットだ。見た目はガンダムに登場するジオングそのもの。飛行中でも手を動かせるため、空中作業用ロボットとしての活用も考えられるとのこと。

このジオングは元々は通常のクアッドコプターを内蔵する形で飛んでいたものだが、昨年ダクトファンを使った「足」を作成して改造。今年は頭を独立して飛ばせるようさらに改造し、原作のような動きを再現しているという。飛行デモでは頭を搭載した場合にバランスを崩してしまっていたが、本体はしっかりと飛行していた。

1-07
足の部分にダクトファンを内蔵。手の部分が動くといった実用性も考えられている

1-08
首から上は小型のクアッドコプターになっており、頭だけだけで飛行が可能

1-09
会場内で、実際に飛行デモが行われた。ダクトファンが足に隠れているため、この状態ではマルチコプターとは思えない

1-10
頭があると安定しなかったものの、先に頭を飛ばした後なら安定した飛行となった

もうひとつ注目されていたのが、片手サイズの小さな機体。お菓子の空き箱を利用したもので、商品そのものが飛ぶことから「飛ぶ広告塔」としての活用が考えられている。重たくなければどんなものでも飛ばせるため、応用範囲は広そうだ。

1-11
「チップスター」の空き箱を使った小さな機体。空き箱をそのまま使えるため、広告としても注目を集めやすそうだ

赤い“ツノ”があるのはなぜかと聞いてみたところ、パッケージが赤いことからシャア専用を意識してるとのこと。なお、背後にある緑は量産型ザク、青はグフをイメージしているそうだ。よく見ると、青いパッケージにはヒートロッドが装備されていた。

1-13
青いパッケージには、グフの特長ともいえるヒートロッドを装備。こういった遊び心があるのがおもしろい

─ 宮里 圭介