Fabrication

2022.08.10

[Maker Faire Tokyo 2022]注目出展者紹介 #2 ― 非常用バッテリーとしても使える、ICOMAの「タタメルバイク」は “家の中に入り込む” 電動バイク

Text by Noriko Matsushita

株式会社ICOMAの「タタメルバイク」は、ハンドルとタイヤをたたむとトランクケースのような箱型になる、ポータブル電源付きの折りたたみバイクだ。コンパクトでデスク下にも収まり、非常時にはUSBバッテリーとしても使える。バイク置き場が自宅や職場になく、バイクをあきらめていた人はもちろん、その見た目のユニークさから、バイクに興味がなかった人からも関心を集めている。


フロントは10インチのホイールで一般的な原付スクーターと同様のタイヤを搭載、リアサスペンションも装備し、安定した乗り心地。最高速度は時速40キロ、最大航続距離は30キロを想定、追加のバッテリーを装備することで70キロまで航続距離を延長可能。


収納時のサイズは長さ700×幅260×高さ680ミリ。バッテリーからUSBやAC給電が可能だ

タタメルバイクを開発する生駒 崇光さんは、株式会社タカラトミーの出身。プロダクトデザイナーとしてトミカなどの試作や変形ロボット玩具「トランスフォーマー」に携わり、その後、2014年に家電ベンチャーのCerevo、2016年に家庭用ロボットを開発するGROOVE Xの2つのスタートアップに参画している。新進気鋭のスタートアップのエンジニアたちに刺激を受けるなか、「袖机に入るくらいの入るような電動バイクが創れるんじゃないか」と、ホワイトボードに描いたスケッチがタタメルバイクの原点だそう。

2019年から個人活動として開発を始め、Maker Faire Tokyo 2020に実寸大のコンセプトモデルを出展。2021年に株式会社ICOMAを起業し、来春以降の販売を目標に開発を進めている。


Maker Faire Tokyo 2020に出展したコンセプトモデル


ボール盤や旋盤がある自宅2階の作業場。1台40~50キロあるので、階段で運ぶのは大変そうだ

一般的なバイクは、やや嗜好性の高いものになっているのに対して、タタメルバイクは実用性がコンセプト。「駐車場がないマンションでも玄関に置いてあり、いつでも走り出せて、かつ非常用のバッテリーにもなる。インフラのような電動バイクがあれば世の中は便利になるのでは」と生駒さん。都会に暮らしていると、バイクやクルマに触れる機会が少ない。住環境によるハードルをなくして、乗り物好きを増やしたい、というのが電動バイクを作った理由のひとつだ。

もうひとつのコンセプトは、ライト感覚でカスタマイズできること。従来のバイクのカスタマイズは、マフラーやサスペンションを変えるといった部品単位のカスタムが主流で、費用も数万単位と高額だ。タタメルバイクは、スマホカバーのような感覚で、気分や用途に合わせて側面のパネルを好みのデザインに付け替えることを提案している。カスタマイズを訴求するため、販売後は外装の3Dデータを公開する予定だ。側面のパネルをソーラーパネルやサイネージにするといったオプションも想定されている。


側面のパネルを付け替えて、自分らしくカスタマイズできる

生駒さんが描くのは、パーソナルモビリティがパーソナルロボットに進化していく未来だ。タタメルバイクでは、家の中にバイクが入り込むことまでを実現した。このバイクがロボット的な進化を遂げれば、パーソナルロボットの活用が見出せるかもしれない。


「Maker Faire Tokyo 2020からの進化を見てほしい」と生駒さん

今回のMaker Faire Tokyo 2022では、実際の製品に近いナンバー付きの機体が展示される予定だ。場内での走行はできないが、車体にまたがったり、変形を試したりできるとのこと。製品化に向けて、変形の強度や配線方法などの技術的なアドバイスや、カスタマイズのアイデアをどんどん聞かせてほしいそうだ。子ども用のバイクやミニチュアも展示予定なので、ぜひブースに足を運んでみよう。


Maker Faire Tokyo 2022のお得な前売券は、ローソンチケットイープラスにて好評発売中(前売:大人 1,000円、18歳以下 500円、小学校未就学児は無料。なお当日券は大人 大人 1,500円、18歳以下 700円)。お得な前売券をご購入いただいた方には、ラウンドロゴのオリジナルステッカーもプレゼント!