Fabrication

2013.09.02

10年前にはなかったMakerの仕事トップ10

Text by kanai

変革が急速に進んでいる。10年前には存在しなかった仕事で食っていけるようになっているのだ。

1. クアッドコプターの操縦士

The ELEV-8 Quadcopter
ELEV-8クアッドコプター

このごろ、ITP卒業生のメーリングリストには、経験豊富なクアッドコプターの操縦士の求人広告がいくつか載っている。このぶんぶん飛び回るドローンは、商業施設やコンサートやアウトドアイベントなどで多く使われるようになってきている。そうしたイベントの主催者は、その操縦士を求めているのだ。去年、趣味でクアドコプターを始めて操縦を学んだ人たちには、今、プロとして活躍する道が開かれている。

2. クラウドファウンダー

Celebrating the second $1 million project in one day
1日に2つめの100万ドル達成プロジェクトを祝って。

クラウドファンドサイトの Kickstarterが100万ドルの募金を集めるようになるまで3年かかった。去年の2月の初めに、2つのプロジェクトが同じ日に100万ドルを達成したのだ。しかし今では、100万ドル集めたとしても、もっとも成功したプロジェクトトップ10には入れないほどになっている。Makerにとっては、頼りになる資金集めサイトとなっているのだ。米国連邦議会もこの流れを受けて、クラウドファンドを使ったスモールビジネスの出資金集めの合法化へと動いた。

3. メイカースペースの管理人


ベルリンのc-Base Hackerspace。

この10年間は、メイカースペース、ハッカースペース、FabLabが立ち上がる期間だった。どんな場所でも、人が大勢集まるところでは、かならず世話役が必要となる。きちんと毎月会費を集めたり、床を掃いたり、キッチンをきれいにしたり。まだ世界ではそれほど魅力的な商売にはなっていないが、今はボランティアベースで運営しているスペースも、これからは商売として成り立つようになっていく。

4. デジタル製造技師

3D Printer
3DプリンターはMakerムーブメントのシンボルとなった。

今年の初めに、オバマ大統領は一般教書演説で3Dプリンターについて触れた。10年前だったら、この話を理解できる人を探すのに苦労したはずだ。StratasysがMakerBotを買収したというニュースを聞いて、3Dプリンターが表舞台に出てきたことを疑う人間はいないだろう。

5. アプリ開発者

The Adafruit iOS app– Circuit Playground
AdafruitのiOSアプリ – Circuit Playground

第一世代のiPhoneは2007年6月29日にリリースされた。それまでは、携帯電話のありとあらゆるフォームファクターが混在していたが、それ以降はみな同じ形になった。黒くて四角い消える魔法だ。10年前、iPhoneが現れるなんて誰も考えていなかった。2004年になってやっと噂が流れ始めた。そして、みんながそれを欲しがるようになった。だが、3年後に登場した実物は、まるで違うものだった。10年前、電話用アプリを作って金になるなんて誰が考えただろうか。今は大勢の人間がそれをしている。

6. バイオハッカー

The BioCurious laboratory
BioCurious研究室。

ハッカースペースのバイオ版、バイオスペースは最近現れはじめたばかりだが、すでにパーソナルバイオや遺伝学ゲームの分野で儲けを出している人たちがいる。10年前、23andmeのようなものが実現するとは夢にも思わなかっただろう。まして、それが商売になろうとは。これまではまったく不可能だった。

7. パーソナル宇宙技師


KickSat Sprite人工衛星

Maker Faireのような大きなイベントでも、こんなものを見るとは思っていなかった。だが、今年のMaker Faire Bay Areaには、パーソナル宇宙計画がいくつも出展していた。地球低軌道に何かを飛ばすことは、今や可能であるばかりか、選択肢まであるのだ。パーソナル宇宙計画ビジネスには競争も始まっている。

今から1年半前ほど前、私が初めてKickstarterで寄付をしたプロジェクトがKicksatだった。たくさんの超小型人工衛星をまとめて軌道に飛ばすというプロジェクトだ。大きさは切手2枚分ほど。太陽電池、無線送信機、マイクロコントローラー、メモリー、センサーを備えている。

今年の初めのMaker Faire Bay Areaに彼らが出展したとき、私はZacharyとKickSatプロジェクトに、編集者賞であるブルーリボン贈呈した。Kicksatの打ち上げは、今年の12月9日と公式に決まった。10年前は完全に夢物語だったものが、今では完全な現実となった。

8. データサイエンティスト

Four of the 500 sensor motes deployed at Google I/O
Google I/Oで展開された500個のセンサーモートのうちの4つ。

データサイエンティストは急に増えてきた。データ科学という言葉が受け入れられてから、まだほんの数年だ。データサイエンスとは、巨大なデータの倉庫だけを暗示するものではない。パーソナルにもなり得るのだ。2005年、今から思えばデータサイエンスの黎明期に、Nick Feltonは、自身の生活に関する年次報告を出版し始め、それは今も続いている

しかしそこにはMakerの居場所もある。データサイエンスが扱うデータには、かならず出所が必要となる。それが、センサープラットフォームセンサーネットワークの広がりを爆発的に発達させることにつながったのだ。

9. UXデザイナー

The purpose of a UX document. Credit: Boon Chew
UX ドキュメントの目的。(協力:Boon Chew

UX(ユーザーエクスペリエンス)デザイナーという職業は、ようやく本物の仕事として認められるようになってきた。その仕事は常に行われていたのだが、確立されておらず、いつも誰か別の人の仕事に含まれていた。UXデザインはソフトウェアだけのものではない。ハードウェアにも大切だ。ユーザーが身の回りの物とどう関わり合うかをデザインするものだ。

10. MAKEの編集者

Volume 34
MAKE英語版 Volume 34

ここにMAKEを加えないわけにはいかないよね。MAKEの創刊号が発売されたのは2005年の1月。まだ10年経っていない。2015年に10周年を迎える。もちろん、特別な企画を考えている。

– Alasdair Allan

原文